第19回 光合成の色素系と反応中心に関するセミナー 本文へジャンプ
講演会内容           <第20回セミナーの案内はこちら>


テクニカルセミナー
「質量分析の仕組みと使いみち」
   工藤寿治(ブルカー・ダルトニクス株式会社 アプリケーションエンジニア)

 質量分析は低分子から高分子まで様々なサンプルに対応することが可能であり、現在も様々な研究分野へとその応用範囲を拡大し続けています。ソフトイオン化法を用いることによるタンパクのような巨大分子の直接測定や、そのアミノ酸配列解析はもちろんのこと、低分子の元素組成解析、生体組織切片のような二次元サンプル内での分子量の局在を可視化するイメージングMS、もしくはライブラリ検索による細菌の同定等といった、専用のハードウェア・ソフトウェアが開発・市販されているものだけでも多岐にわたります。
 測定の原理から前述のようなアプリケーションまで、いくつかの測定事例を交えつつ質量分析について概説いたします。

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光合成研究の最前線
「クロロフィルタンパク質複合体:膜タンパク質の精製法とタンパク質・色素・キノンの分析法を中心に」
   高橋裕一郎(岡山大学大学院自然科学研究科)

 光合成反応において、クロロフィルタンパク質複合体は、光を捕集しそれを酸化還元エネルギーへ変換する役割を担っている。クロロフィルタンパク質複合体はチラコイド膜に埋め込まれた状態で存在するため、界面活性剤で可溶化してから精製しなければならない。また、多数のタンパク質サブユニットとコファクターを結合する複雑な構造をもつ。クロロフィルタンパク質の生化学的解析が本格的に行われるようになったのは40年以上も前であるが、未だに解析が活発に進められている。その理由の一つは、その精製や分析には特別な手法が必要であるためで、様々な試薬や分析法の発展に伴い新たな知見が未だに数多く報告されている。ここでは、私たちの研究室で用いているタンパクサブユニット組成やキノンや光合成色素の分析法を、生化学を専門としない方にも理解しやすいように解説したい。

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