第20回 光合成の色素系と反応中心に関するセミナー 本文へジャンプ
講演会内容


テクニカルセミナー
「原子間力顕微鏡による光合成研究へのアプローチ」

出羽毅久*・角野歩(名古屋工業大学大学院工学研究科、*JSTさきがけ)

 原子間力顕微鏡(AFM)は、走査型プローブ顕微鏡の一種であり、微小探針−試料間の原子間力を検知して試料の表面形状を描く顕微鏡である。AFMは試料への特殊処理が不要で、また液中での観察が可能であることから、光合成膜タンパク質を含む生体分子の構造観察に広く用いられるようになってきた。また近年では単に表面形状を描くだけではなく、微小探針を電極として兼用することにより、任意の局所領域における電流計測等も可能になり、分子レベルでの機能解析が可能になりつつある。ここでは、AFMの簡単な原理から光合成研究における応用まで、最近の我々の結果を交えて解説する


光合成研究の最前線
「光合成反応中心蛋白質における電子移動と色素分子」
石北 央(京都大学生命科学系キャリアパス形成ユニット、JSTさきがけ)
 Photosystem I (PSI), Photosystem II (PSII)、バクテリア反応中心蛋白質に代表される「光合成反応中心蛋白質」は、クロロフィル分子によって光を捕集し、蛋白質中のクロロフィル、キノンといった酸化還元活性をもつ分子による電子移動経路を「電線」のように用い、電荷分離(電子移動)反応を行う。私達の研究室では、コンピューターを用いた理論化学計算手法により電子移動の様子を研究している。理論計算というと何やら難解なように聞こえるが、実際は基本的な化学や蛋白質構造の立場から電子移動を理解しようとする作業である。ここでは、数式等は持ち出さずに、光合成蛋白質における電子移動の様子を直感的に理解できるようわかりやすくお話ししたい。


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