ショウジョウバエは遺伝学の優れたモデル動物

細胞はキラルだ~新しい細胞極性~

ショウジョウバエが遺伝学実験に本格的に使われ始めたのは、高校の教科書でおなじみのモーガンの研究室においてです。つまり、ショウジョウバエ遺伝学には、すでに100年の歴史があるのです。ショウジョウバエは、多数の突然変異体を容易に扱えることから、突然変異体を用いた発生の研究にも適しています。これらの長所をいかすことで、ショウジョウバエを用いた研究に対して、これまでに5度もノーベル賞が授与されました。また、最近のゲノム研究の成果から、ヒトの病気の原因として知られている遺伝子の61%がショウジョウバエでも保存されており、遺伝的にはヒトとショウジョウバエが非常に似ていることがわかっています。したがって、ショウジョウバエで得られた知識がヒトに応用できる場合が多く、ショウジョウバエはヒト疾患を研究するモデルとしても使われています。

ショジョウバエは生きた試験管だ!!

ショウジョウバエは「生きた試験」と言えます。化学では、試験管内の物質を混ぜ合わせて反応を調べます(AとBからCができる)。ショウジョウバエでは、 突然変異の雄と雌を交配して(AとBの突然変異)、二つの突然変異を同時にもったときにどんなことになるのかを調べることができます(Cの個体)。突然変異では、遺伝子が壊れています。このため、二つの突然変異を同時にもつショウジョウバエを調べると、壊れた二つの遺伝子の機能的な関連がわかります。これは、ほんの一例で、100年間で培われたショウジョウバエ遺伝学、発生学の知識や研究手法によって、未知の領域を切り開く研究が可能になっています。
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