研究内容と最近の話題

研究内容


ニハイチュウの系統と進化について、現在以下の問題に取り組んでいる。

1)分類と世界各地のニハイチュウ相
2)比較発生(細胞系譜の比較)による種間の系統解析
3)形態にみられる収斂現象の実像
4)宿主特異性や共進化
5)生活史や繁殖戦略の進化
6)体制の進化(特殊化)
7)螺旋型卵割動物のなかでの系統的位置

最近の話題

ニハイチュウと頭足類における共進化の実像  

一般に、1種または1個体の頭足類に複数種のニハイチュウ類がみられるが、それぞれの種のニハイチュウは宿主特異性をもつため、ニハイチュウ類と頭足類は共進化していると推測された。そこで、ニハイチュウ類とその宿主頭足類の系統解析を行ない、両者の系統樹を比較し、共進化の実像を明らかにした。その結果、タコ類とイカ類にみられるニハイチュウは、それぞれおおむね単系統を示したが、なかにはホストスイッチしたと考えられる種がみつかった。また、同じ種の宿主にみられるニハイチュウ類では、それぞれが近縁種で、同じ宿主の中で種分化が起きていることが示唆された。さらに、イカ類にみられるニハイチュウ類が早くに分岐しているため、ニハイチュウは最初イカ類に寄生していたことが示唆された。ニハイチュウ類とその宿主には、一部に共進化がみられるのみで、全体的にみるとニハイチュウは共進化していないことが明らかになった。これは、ニハイチュウにとっての頭足類は生活の場としてなくてはならぬ存在であるが、頭足類にとってのニハイチュウはそれほど重要でないという一方的な関係を示している。

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