分子創製学研究室

Laboratory of Protein Synthesis and Expression

教授
高木 淳一 (Junichi TAKAGI)
mail takagi @ protein.osaka-u.ac.jp
研究分野

情報伝達学

所属

蛋白質研究所

ロケーション

吹田地区

研究内容

細胞は外からの刺激を受容してその情報を細胞内で処理し、外的環境に対処する。「シグナル伝達研究」において、受容体(レセプター)が細胞表面(つまり細胞の外)で情報を受容し、それを細胞膜を隔てた内側に伝える仕組みを知ることはもっとも重要な課題である。本グループでは、この問題に取り組むために、X線結晶解析や電子顕微鏡イメージングを駆使した構造生物学的アプローチによって、シグナル伝達の「入力端末」部分の働きを明らかにすることを目指している。特に、脳・神経系で働く受容体やシナプス構成因子、神経細胞死や軸索ガイダンスに関わる分子、生物の発生や形態形成に関わるシグナル分子などの蛋白質について、「構造から機能に迫る」研究を行う。

レセプター・リガンド複合体の構造決定

レセプターの細胞外領域(ドメイン)とそのリガンド蛋白質との複合体の構造は、シグナル伝達機構の解明のみならず阻害剤などの医薬の開発にもつながる重要な情報を含んでいる。相互作用に関わる部位やその結合における役割などを明らかにするため、このような複合体の構造を。慇結晶解析を用いて高解像度で、あるいは電子顕微鏡(EM)イメージングを使って低解像度ながらも複数のコンフォーメーションを同時に決定する。 i)神経ガイダンス因子とその受容体のシグナリング系 神経軸索ガイダンス因子であるセマフォリンとその受容体プレキシンについて、複合体の構造解析から医薬候補となる阻害剤の探索、その作用機序の構造生物学的解明を行っている(図1)。 ii)Wntシグナル伝達メカニズムの構造生物学的解明 Wnt蛋白質は幹細胞の増殖に必須な増殖因子で、脂質修飾をうけているために精製や解析が困難であった。ほ乳類Wnt蛋白質について世界で初めてその立体構造を決定し、それをもとにシグナリングメカニズムの解明を行っている(図2)。

高品質組み換え蛋白質生産系の確立

細胞外タンパク質は糖鎖の付加や、ジスルフィド結合が構造を保つのに必須であり、大腸菌での簡便な発現系が使えないことが多い。構造解析や精密な生化学的・物理化学的実験に供するために、これらの困難な組み替えタンパク質の「生産」を、‘以細胞培養系の高度化、⊃靴靴ぅ▲侫ニティタグシステムの開発、H現法の改良・開発、を通して確立する。(図3)

構造情報を元にしたプロテインエンジニアリング

立体構造情報は蛋白質の機能発現メカニズムを明らかにするために有用なだけでなく、機能の改変や創出にも威力を発揮する。蛋白質に望みの機能を持たせ、天然には存在しない有用な分子を創成する研究を行っている。(図4)

図0 (左)セマフォリン・プレキシン複合体の結晶構造。(中央)セマフォリン刺激前と刺激後の細胞の形態。(右)プレキシンB1のアロステリック阻害ペプチドの結合部位。

図1 Wnt3とその受容体Fz8の複合体構造(左)と補助受容体LRP6のクライオ電顕構造(中央)を組み合わせ、Wnt:Fz:LRP三者複合体によるシグナリング機構のモデルを提唱する(右)

図2 超高親和性アフィニティタグであるPAタグシステムの開発

図3 新規小型抗体フォーマット“Fv-clasp”の構造

参考文献

Hirai H, Matoba K, Mihara E, Arimori T, and Takagi J Crystal structure of mammalian Wnt-frizzled complex Nature Struct. Mol. Biol. 26(5) , 372 - 379 (2019)

Miyazaki N, Iwasaki K, and Takagi J. Systematic survey of conformational states in alpha6beta1 and alpha6beta4 integrins by negative-stain electron microscopy. J. Cell Sci. 131(10) , pii: jcs.216754 - (2018)

Arimori, T, Kitago, Y, Umitsu, M, Fujii, Y, Asaki, R, Tamura-Kawakami, K, and Takagi, J. Fv-clasp: An artificially designed small antibody fragment with improved production compatibility, stability, and crystallizability. Structure 25 , 1611 - 1622 (2017)

連絡先

〒567-0871
大阪府吹田市山田丘 3-2
大阪大学大学院 蛋白質研究所

TEL:06-6879-8607 FAX:06-6879-8609

http://www.protein.osaka-u.ac.jp/rcsfp/synthesis/

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