生体分子解析研究室

Laboratory for Biomolecular Analysis

准教授
奥村 宣明 (Nobuaki OKUMURA)
mail nokumura @ protein.osaka-u.ac.jp
研究分野

蛋白質機能学

所属

蛋白質研究所

ロケーション

吹田地区

研究内容

本研究室は、質量分析装置、プロテインシーケンサーなどの分析機器を備え、蛋白質の構造・機能を研究するための高度な研究環境を提供するとともに、新たな蛋白質解析技術の開発に取り組んでいきます。また、研究所内外の研究者の支援業務として蛋白質のN末端アミノ酸配列解析を行っています。さらに、生化学、分子生物学、細胞生物学、神経科学の視点から、蛋白質とペプチドの分解とその調節機構の研究を行い、体内の恒常性維持機構の一端を解明することを目指します。

ジペプチドの合成、分解のメカニズムと生理機能の解析

哺乳類の細胞内にはジペプチド、トリペプチドなどの短鎖ペプチドが多数存在します。その中にはタンパク質の消化・吸収やターンオーバーなど分解の過程で生じるものと、カルノシン(β-Ala-His)やグルタチオンのようにアミノ酸から酵素によって合成されるものがあります。一方、生体内にはこれらを分解するシステムも存在しており、タンパク質の消化と吸収、腎臓での再吸収、各組織でのタンパク質ターンオーバーにおいて重要であるとともに、グルタチオン、カルノシンなど短鎖の機能性ペプチドの機能調節にも必須です。しかし、ジペプチドの機能とともに、各組織に存在する酵素の種類、機能、調節機構などについては詳細にはわかっていません。 われわれは哺乳類の恒常性維持機構の研究を進める中で、カルノシンの生理機能と代謝について解析を行い、それまで機能不明であった金属ペプチダーゼCN2にカルノシン分解活性があることを明らかにしました。また、CN2の組織分布から、カルノシンが脳内でヒスチジンの供給源としてヒスタミン神経をサポートしている可能性が示唆されました(Otani et al. 2005、Otani et al. 2008)。 われわれはまた、CN2の構造と機能の解析を行うためX線結晶構造解析を行うとともに(Unno et al, 2008)、質量分析計(ESI-MS)を用いてダイマーの結合と解離を非変性条件のESI-MSでモニターし、CN2がダイマー形成を必要とするユニークな反応機構を持つことを明らかにしました。(Okumura et al. 2016)。 CN2は当初、活性にMn2+が必要と考えられていましたが、X線結晶解析ではZn2+とも結合することが明らかになったことから、ESI-MSを用いて金属との相互作用の解析を行ました。その結果、Zn2+結合型がMn2+結合型とは異なる基質特異性を持ったアクティブな酵素であることを明らかにし、その細胞内での活性も明らかにしました。(Okumura and Takao, 2017)。 われわれは、これらの知見に基づいてCN2の基質特異性についてさらに検討をすすめるとともに、近縁の酵素の解析やCN2との比較を行うことにより、ジペプチドの分解系の機構と機能、ならびにカルノシン等のジペプチドの機能が明らかになると考え、解析を進めています。

プロテオミクスによる蛋白質解析法の開発とその応用

近年、プロテオミクスは質量分析法を中心として大きく発展し、研究法として確立されてきましたが、実際の解析においてはサンプル調整や定量比較、データ解析などにおいて様々な個別の課題と新たな可能性があります。われわれは、以前、恒常性維持機構の解析を目的として、質量分析を用いたタンパク質の同定や修飾の解析法を用いて、リン酸化酵素の基質の同定、タンパク質間相互作用の解析、組織特異的発現の網羅的解析などを行ってきました(Okumura et al., 2008, Kita et al., 2006、Matsubara et al., 2005、Okumura et al., 2003, Shima et al., 2000 など)。その後さらに、病理学、細胞生物学、バイオマーカー探索などの諸分野の研究者、ならびに蛋白研高尾研究室との共同研究において、尿路結石のプロテオミクス解析(Okumura et al. 2013)、定量的プロテオミクス解析(Kimura et al. 2013)、翻訳後修飾の解析(Sakakibara et al. 2015)などを行ってきました。現在さらに、個別の課題における問題解決と新たな技術の開発に取り組んでいます。

参考文献

Okumura N, Takao T. The zinc form of carnosine dipeptidase 2 (CN2) has dipeptidase activity but its substrate specificity is different from that of the manganese form. Biochem Biophys Res Commun. 494, , 484 - 490 (2017)

Okumura N, Tamura J, Takao T Evidence for an essential role of intradimer interaction in catalytic function of carnosine dipeptidase II using electrospray-ionization mass spectrometry. Protein Sci. 25 , 511 - 522 (2016)

Okumura N, Tsujihata M, Momohara C, Yoshioka I, Suto K, Nonomura N, Okuyama A, Takao T. Diversity in protein profiles of individual calcium oxalate kidney stones. PLoS One. 8 , e68624 - (2013)

Unno, H., Yamashita, T., Ujita, S., Okumura, N., Otani, H., Okumura, A., Nagai, K. and Kusunoki, M. Structural basis for substrate recognition and hydrolysis by mouse carnosinase CN2. J Biol Chem 283 , 27289 - 27299 (2008)

連絡先

〒565-0871
大阪府吹田市山田丘3-2
大阪大学蛋白質研究所
附属蛋白質次世代構造解析センター
生体分子解析研究室

http://www.protein.osaka-u.ac.jp/metabolism/taisha.html

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