生物無機化学研究室

Laboratory of Bioinorganic Chemistry

教授
舩橋 靖博 (Yasuhiro FUNAHASHI)
mail funahashi @ chem.sci.osaka-u.ac.jp
講師
野尻 正樹 (Masaki NOJIRI)
mail nojiri @ chem.sci.osaka-u.ac.jp
助教
畑中 翼 (Tsubasa HATANAKA)
mail hatanakat13 @ chem.sci.osaka-u.ac.jp
研究分野

生命理学

所属

理学研究科

ロケーション

豊中地区

研究内容

生体内のエネルギー伝達や代謝などの過程では、光励起と電子伝達、ならびに分子変換の各反応を円滑に行っています。それらを担う金属蛋白質中の狭小空間内には反応活性な金属部位があり、それを中心に機能を発揮しています。 金属蛋白質と人工的に合成した金属錯体は、その中心となる金属イオンの性質に類似点があります。さらに金属錯体は生体内で薬理活性を示すものもあります。以上の様な金属と生命の関わりを理解する研究と、関連した金属を含む機能性錯体や人工の金属酵素の開発などを行います。

金属活性中心の分子活性化

遷移金属を含む蛋白質には、呼吸や光合成ならびに電子移動に関与するものや、触媒機能を持つ酵素があります。例えば小分子である酸素の運搬や貯蔵を行って呼吸鎖の末端で酸素分子を水に還元する反応は、一連の金属蛋白質群が行っています。また酸素分子を活性化して様々な基質を酸化する反応や、活性酸素を消去する数多の金属酵素があります。これらの金属酵素の活性部位で必須の補因子として活躍しているのは遷移金属であり、ヘム鉄や非ヘム鉄、タイプII銅やタイプIII銅、マンガンなどが挙げられます。マンガンのクラスターは光合成で水から酸素発生する反応も触媒しています。さらに呼吸における二酸化炭素の排出や、消化における蛋白質の加水分解を触媒するために、亜鉛を含んだ金属酵素もそれぞれ用いられています。このように蛋白質の活性部位に含まれ、酸素、水素ならびに窒素やそれらに関連する化合物や他の基質分子を活性化する遷移金属の働きに我々は注目しています。

光励起と電子伝達

光合成や呼吸において生命活動に必要なエネルギーの移動は、まず電子をキャリアとして行われます。例えば酸素発生型の光合成の明反応において、光励起電子は蛋白質中を移動してNADPHを生じます。一方、正孔はマンガンクラスターに伝達され水の酸化によって消滅して酸素発生します。このいずれのプロセスもプロトン濃度勾配に寄与してATP合成も促します。このZスキームで中間の電子移動を担うのは酸化還元活性なヘム鉄や鉄硫黄クラスター、タイプI銅などの遷移金属を含んだ一連の電子移動蛋白質です。これらの電子やプロトンの移動過程は、蛋白質構造のダイナミクスだけでなくトンネリングの様な量子効果にも依存し、我々の研究課題になっています。

人工金属酵素の開発

先に述べたような観点で金属蛋白質の研究を行うことにより、金属蛋白質の機能と構造の相関の解明することをまず目的のひとつとしています。生命はその発生当初からすでに必須元素として金属を積極的に取り込んでおり、このように天然の金属蛋白質の研究を行うことは、生命の起源やその後の分子進化の理解にも繋がります。一方、天然の金属蛋白質の活性部位と人工的に合成した金属錯体は化学的性質に様々な類似点がみられ、光エネルギー利用に必要な光増感能を獲得するものもあります。金属蛋白質と関連した金属を含む機能性錯体や人工金属酵素の新規開発にも取り組んでいます。

抗がん活性のある金属錯体の合成

細胞内情報伝達機構を阻害することによって転移するガン細胞がアポトーシスを起こす金属錯体を、抗がん剤として開発しています。

図0 生物無機化学で注目する観点

図1 生物無機化学のシンポジウム

参考文献

連絡先

〒560−0043大阪府豊中市待兼山町1−1
大阪大学大学院 理学研究科化学専攻
TEL:06‐6850‐5767
funahashi @ chem.sci.osaka-u.ac.jp

http://www.chem.sci.osaka-u.ac.jp/lab/funahashi/index.html

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