上の系統分岐図が示すように、神経冠(neural crest、神経堤とも呼ばれる)は、脊椎動物に特有の胚組織である。胚発生の初期に神経管背側より出現した神経冠細胞は、特徴的移動経路を通り胚全体に移動する。上の右図は、体幹神経冠細胞の移動経路と主な定着部域を模式的に示したものである。神経冠細胞は、定着部域に応じて、下の表に示すように脊椎動物のボディ−プランを特徴づける多くの細胞種に分化する。 神経冠は、その発生の仕方と時期に基づいて、第4の胚葉とも呼ばれる。すなわち脊椎動物は、神経冠という新たな胚葉を持った4胚葉性動物と考えることができる。

     
神経冠由来の細胞・組織
体幹
末梢神経系 背根神経節
交感神経節
副交感神経節
神経系の支持細胞(グリア細胞・シュワン細胞)
ロ−ハン・ベア−ド細胞
副腎髄質(クロム親和性細胞)
色素細胞
頭部
末梢神経系 知覚神経節 三叉(V)神経節・顔面(VII)神経節
舌咽(IX)神経節・迷走(X)神経節
副交感神経節 毛様体神経節
骨・軟骨組織
結合組織
造歯細胞



参考文献

N. M. Le Douarin and C. Kalcheim: The Neural Crest (2nd edition). Cambridge University Press (1999).

B. K. Hall: The Neural Crest in Development and Evolution. Springer Verlag (1999).




神経冠の進化発生生物学