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植物の気孔と道管の数を調節するペプチド分子を発見

The CLE9/10 secretory peptide regulates stomatal and vascular development through distinct receptors.

Qian P, Song W, Yokoo T, Minobe A, Wang G, Ishida T, Sawa S, Chai J, Kakimoto T.

Nature Plants 4, pages1071-1081(2018),doi:10.1038/s41477-018-0317-4

要約
植物は、根から葉までつながる道管と、葉の表皮にある気孔という小さな穴を使って水分を輸送しています。これらの二つの構造の数を調節するシグナル分子が報告されました。 根端には将来道管になる前駆細胞があり、各前駆細胞が根の長軸と直角な方向に細胞分裂することによって道管の細胞列を作り出し、最終的には細胞が中空になると共に、細胞列を作る細胞間が貫通することで道管が作られます。道管前駆細胞の数は、道管前駆細胞の縦方向の細胞分裂によって増やされますが、その制御機構は良くわかっていませんでした。 葉の表皮には幹細胞であるメリステモイド母細胞(MMC)が存在します。MMCは全ての気孔孔辺細胞と多くの一般の表皮細胞の源となっています。MMCの幹細胞としてのアイデンティティーを決めている転写調節因子はSPCHです。 発表者らは、CLE9/10(CLE9遺伝子とCLE10遺伝子によって同一のCLE9/10がコードされる)と呼ばれる13アミノ酸からなるペプチドが、葉の気孔系譜幹細胞(MMC)の数と根の道管前駆細胞の数を制御することにより、気孔数と道管細胞列の数を制御していることを見出しました。さらに、CLE9/10がこれらの別の発生過程を制御するために、別の受容体を活性化していることを示しました。葉に於いてはCLE9/10はHSL1という受容体キナーゼに結合し、その結果MMCのアイデンティティー決定因子SPCHを不安定化することで気孔系譜の細胞数を抑制することを示しました。根においてはBAMと呼ばれる受容体キナーゼを活性化して道管細胞列を抑制することを示しました。

論文へのリンク
https://www.nature.com/articles/s41477-018-0317-4

柿本研究室ホームページ
http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/bio_web/lab_page/cell_physiol/sitepg/Kakimoto_Lab/homu.html



一つのペプチド性細胞間シグナル分子CLE9/10が、活性化する受容体によって違った発生過程を制御する。