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テロメアに結合するタンパク質が染色体複製開始点をテロメアに引き寄せて制御することを発見

“Shelterin promotes tethering of late replication origins to telomeres for replication-timing control”

Ogawa S, Kido S, Handa T, Ogawa H, Asakawa H, Takahashi TS, Nakagawa T, Hiraoka Y, Masukata H.

The EMBO Journal (2018) e98997, doi: 10.15252/embj.2018098997

要約
細胞は、分裂して二倍になる前に、自身のもつ遺伝情報を複製します。細胞の遺伝情報を担う巨大な染色体DNAを限られた時間内に完全に複製するため、染色体上には多数の複製開始点が存在し、それらは領域毎に異なる時期(タイミング)に複製されます。これまで、複製タイミングは細胞核内の空間的配置と関係すると考えられてきましたが、そのしくみはまったく解っていませんでした。  本研究では、単細胞真核生物である分裂酵母を用いて、特定の複製開始点に目印となる蛍光タンパク質(LacI-GFP)を結合させる遺伝子操作を行うことにより、生きた細胞内で複製開始点の位置を解析することに成功しました。その結果、後期に複製を開始する複製開始点だけが核膜に局在することを発見し、さらにそれらは複製タイミングが決定されるG1/S時期にはテロメアに隣接する位置に移動することを発見しました。種々の遺伝子欠損株を用いた解析から、核膜に局在することは複製タイミング制御には重要ではなく、G1/S期にテロメアに隣接することが重要であると結論しました。またテロメアに結合して末端保護とテロメア長制御にはたらくシェルタリン(shelterin)と呼ばれるタンパク質複合体が、複製開始点をテロメアに引き寄せて複製タイミングを制御するしくみにはたらくことを発見しました。本研究は、染色体末端テロメアが遠く離れた染色体内部とコミュニケーションするしくみを明らかにしたことになり、将来テロメアが遠隔制御する疾患原因遺伝子の発見につながる可能性があります。

論文へのリンク
http://emboj.embopress.org/content/early/2018/07/10/embj.201898997

(旧)升方研究室ホームページ
http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/bio_web/lab_page/masukata/