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量子ドットプローブを用いたマルチカラー1分子蛍光イメージングを実現

Compact Halo-Ligand Conjugated Quantum Dots for Multicolored Single-Molecule Imaging of Overcrowding GPCR Proteins on Cell Membrane,

Komatsuzaki, A., Ohyanagi, T., Tsukasaki, Y., Miyanaga, Y., Ueda, M., and Jin, T.

Small
DOI: 10.1002/smll.201402508

要約
細胞膜には様々な受容体があり、細胞外のシグナルを受容して細胞内へ伝える働きを担っている。受容体のシグナル受容・伝達の仕組みを解明するために、生きたままの細胞内における受容体の時空間動態を解析する技術の開発が重要となっている。我々はこれまで、細胞の走化性に関与するGPCR型走化性受容体cAR1を研究対象として、受容体1分子をライブイメージングする技術を開発してきた。これにより、cAR1の誘引物質結合キネティクス、拡散運動性、三量体G蛋白質との相互作用などについて解析を進め、走化性受容体のシグナル受容・伝達の仕組みを明らかにしてきた。
 本論文では、こうした解析手法をさらに発展させ、量子ドットプローブを用いたマルチカラー蛍光1分子イメージングを実現した。これにより従来法にあったいくつかの技術的な限界を改善することができた。例えば、細胞内1分子イメージングでよく用いられる有機蛍光色素(テトラメチルローダミン等)と比較して、量子ドットはその蛍光輝度が高く褪色までの時間が長いため、従来よりも長時間の1分子追跡や高時間分解能観察が可能になった。加えて、多色観察により、従来よりも高密度の混雑下にある受容体を1分子ごとに分離して観察できるようになった。光学顕微鏡の分解能の限界は光の波長の半分程度(〜200 nm)であり、受容体の大きさは5 nm程度なので、200 nmの範囲内には数多くの受容体が存在しうる。分解能の範囲内にある受容体の全てを単色の蛍光で同時に光らせると、1つ1つの受容体分子を区別して観察することはできない。多色化により、200 nm以内に存在する受容体を蛍光波長(色)で区別して検出できるようになった。こうした技術改善により、走化性受容体の機能発現の仕組みをより詳細に解析できると期待される。

本研究は、理化学研究所・生命システム研究センターQBiCのナノバイオプローブ研究チーム(チームリーダー:神隆さん)との共同研究である。

論文へのリンク
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25504902

上田研究室ホームページ
http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/bio_web/lab_page/ueda/index.html




細胞性粘菌の走化性受容体cAR1をHaloTagで標識し、3色の量子ドットプローブ(Halo-QD)で染色した後、全反射蛍光1分子顕微鏡を用いて観察した。3色のプローブを同時に観察した場合(白:>500 nmロングパス)および3色のプローブを波長で分けて観察した場合(緑:525 nm蛍光、赤:600 nm蛍光、青:700 nm蛍光)での1分子蛍光画像。