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リーディング鎖DNAポリメラーゼPolイプシロンのDNA合成以外の必須機能を発見した

DNA polymerization-independent functions of DNA polymerase epsilon in assembly and progression of the replisome in fission yeast.

Handa, T., Kanke, M., Takahashi,TS., Nakagawa,T., Masukata,H.
Mol Biol Cell, (2012) 23, 3240-3253, doi: 10.1091/mbc.E12-05-0339

要約
 真核生物染色体DNAを複製する複製フォークでは、DNA二重鎖がCMG (Cdc45-MCM-GINS) ヘリカーゼ複合体によってほどかれ、各一本鎖DNAを鋳型として、片方の鎖は連続的に合成され(Leading鎖)、他方はOkazaki fragmentsとして不連続に合成される(Lagging鎖)。Leading鎖DNAはDNA Pol ε(イプシロン)複合体が合成し、Lagging鎖はPol α(アルファ)-primase複合体が合成したRNA-DNAプライマーを、Pol δ(デルタ)複合体が伸長する。これら3つのポリメラーゼは、すべて生存に必須で保存されている。ところが興味深いことに、Pol εの触媒サブユニットCdc20/Pol2には他のポリメラーゼには無い巨大なC末端ドメイン(CTD)が存在し、N末ポリメラーゼドメインは欠失できるのに対しCTDは生存に必須である。出芽酵母では、Pol εは複製開始前にCMG複合体形成に必要であると示されているが、それではPol εは複製フォークでは必須ではないのだろうか?
 我々は、複製フォークにおけるPol εの必須機能を明らかにするために分裂酵母をモデル生物として解析した。分裂酵母Cdc20のCTDに変異を導入して得た高温感受性変異株では、制限温度においてもCMGヘリカーゼが活性化され、Pol α、Pol δが結合して複製を開始したが、CMGヘリカーゼは複製開始点から移動できないことが明らかとなった。これらの結果から、Cdc20-CTDはCMGヘリカーゼを促進する機能を持つことが示唆された。リーディング鎖ポリメラーゼPol εによるリーディング鎖DNA合成は他のポリメラーゼによって代替可能であるが、CMGヘリカーゼ活性促進は必須である。リーディング鎖ポリメラーゼが停止時にヘリカーゼを減速させることは、過度の一本鎖DNA形成を抑制し、染色体の異常を抑える役割を持つと考えられる。

論文へのリンク
http://www.molbiolcell.org/content/23/16/3240.full

升方研究室ホームページ
http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/bio_web/lab_page/masukata/