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姉妹染色体接着がDNA複製開始と協調して機能するための新たな反応を発見した

The Prereplication Complex Recruits XEco2 to Chromatin to Promote Cohesin Acetylation in Xenopus Egg Extracts

Higashi T. L., Ikeda M., Tanaka H., Nakagawa T., Bando M., Shirahige K., Kubota Y., Takisawa H., Masukata H., Takahashi T. S.
Curr. Biol. (2012) 22, 977-988. (doi: 10.1016/j.cub.2012.04.013)

要約
 真核細胞は細胞周期のS期に染色体を複製し、M期に染色体分配を行います。S期に合成される姉妹染色体は、DNA複製に伴ってコヒーシン複合体により接着されます。この染色体接着により、M期での正確な染色体分配が可能になります。従って染色体接着は染色体の複製と分配を結びつける反応と言えます。コヒーシンはDNA複製開始の前にDNAに結合し、DNA複製の進行に伴って接着に必須のアセチル化修飾を受けると考えられてきました。アセチル化修飾の機能はまだ正確に分かっていませんが、アセチル化によりコヒーシン分子のDNA結合が安定化されることが示唆されています。このアセチル化はコヒーシンアセチル基転移酵素(CoAT)と呼ばれる酵素が担っており、脊椎動物は二種類のCoATを持ちます。本論文では、アフリカツメガエル卵抽出液を脊椎動物のモデル系に用いて、DNA複製開始に必要な複製開始前複合体(pre-RC)がCoATによるコヒーシンのアセチル化に必要であることを発見しました。ツメガエルCoATであるXEco1とXEco2の解析から、初期胚ではXEco2のみがコヒーシンアセチル化に必要である事、およびXEco1は初期胚で発現しておらず体細胞で優先的に発現していることが分かりました。興味深いことに、XEco2の染色体結合とコヒーシンのアセチル化はpre-RC形成に依存しており、DNA合成の開始前から効率よく起こっていました。pre-RC形成に依存したXEco2の染色体結合を失わせると、コヒーシンのアセチル化と染色体接着が完全に失われました。さらに、コヒーシンのDNA結合の安定化には、アセチル化だけでなくDNA複製反応が必要でした。これらの研究成果から、ツメガエル初期胚ではpre-RCの形成がコヒーシンのアセチル化とDNA複製の開始を協調させること、および、コヒーシンのアセチル化に加えてDNA複製時に起こる未知の反応がコヒーシンのDNA結合安定化に必要であることが分かりました。我々は以前にpre-RCに結合するDDK複合体がコヒーシン複合体のローディングに機能する事を発見しており(Takahashi et al., Genes Dev. 2008)、pre-RCは染色体複製開始の場であるとともに、コヒーシンとXEco2の染色体結合、コヒーシンアセチル化の場でもあり、染色体接着に必要な因子を複製開始の場に供給する役割を果たしていると考えています。

論文へのリンク
http://www.cell.com/current-biology/abstract/S0960-9822(12)00404-6

升方研究室ホームページ
http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/bio_web/lab_page/masukata/