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出芽酵母Na+(K+)/H+交換輸送体はエンドソーム膜の多胞体形成に関与する

The Endosomal Na+/H+ Exchanger Contributes to Multivesicular Body Formation by Regulating the Recruitment of ESCRT-0 Vps27p to the Endosomal Membrane

Mitsui, K., Koshimura, Y., Yoshikawa, Y., Matsushita, M., Kanazawa, H.
J. Biol. Chem. (2011) 286, 37625-37638

要約
真核細胞は、細胞内に複数のオルガネラ(細胞内小器官)を持っている。オルガネラ内部pHはV-ATPaseによるH+の取込みとオルガネラ膜固有のH+ 排出活性のバランスによって固有の値に維持されている。しかし、オルガネラの固有pHと生理機能との関係については不明な点が多い。Na+/H+交換輸送体(Na+/H+ Exchanger; NHE)は、膜を介してNa+ (あるいはK+)とH+を交換輸送する膜タンパク質であり、エンドソーム膜に局在するNHEはエンドソーム内部からH+を排出することによって内部pHのアルカリ化に寄与している。我々は、エンドソーム膜に局在するNHEであるNhx1pを欠失した酵母細胞がエンドソーム膜における多胞体(multivesicular body)の形成阻害を引き起こすことを明らかにした。多胞体形成には4つのESCRT複合体が順序よく細胞質からエンドソーム膜に集合することが必要であるが、nhx1欠失株においてESCRT-0(Vps27p)のエンドソーム結合量が野生株に比べて減少していた。また、Vps27pは酸性pH依存的にエンドソーム膜に結合した。我々は、Nhx1pがエンドソーム内部からのH+排出によりエンドソーム膜の細胞質側表面pHを酸性化することによって、Vps27pのエンドソーム膜への結合を達成していると考えている。

論文へのリンク
http://www.jbc.org/content/286/43/37625

金澤研究室ホームページ
http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/bio_web/lab_page/kanazawa/index.html




A:液胞ペプチダーゼ(Cps1p)の細胞内局在。Cps1pは、ゴルジ体からエンドソームに輸送され、多胞体の形成に伴いエンドソーム内腔の小胞に取込まれる。その後、多胞体と液胞の融合により液胞内腔に到達する。野生株においてCps1pは液胞内腔に局在するが、Nhx1pを欠失した株では液胞近傍に蓄積する。B:多胞体形成におけるNhx1pの機能モデル。Nhx1pはエンドソーム内からH+を排出することによって、近傍の微小空間を酸性化する。この局所的な酸性化は、Vps27pのエンドソーム膜への結合を可能にし、正常な多胞体形成が起こる。