新着情報リスト

新着論文

オーキシン依存的蛋白質分解系を応用した、非植物細胞における迅速なタンパク質発現制御の開発

An auxin-based degron system for the rapid depletion of proteins in nonplant cells

Nishimura K, Fukagawa T, Takisawa H, Kakimoto T, Kanemaki M.
Nature Methods. 2009 Dec;6(12):917-22.


要約
細胞内の特定のタンパク質の機能を遺伝学的に解析するためには、そのタンパク質の発現を抑制した際の表現系を解析することが有用である。もっとも理想的な方法は、ごく短時間に標的タンパク質が除去され、かつその際に劇的な培養条件変化をともなわない実験系である。私たちのグループは、植物ホルモンとして知られているオーキシンが植物内で特定の転写抑制因子を短時間に分解誘導するという最近の研究結果に注目し、この分解システムを出芽酵母及び動物培養細胞に導入することで、培地にオーキシンを添加することで標的タンパク質の発現をコントロールする実験系を開発し、これをauxin inducible degron (AID)法と命名した。このAID法を用いて、出芽酵母内の必須細胞周期因子を発現コントロールすることにより、オーキシン感受性の細胞周期変異株を多数作成することに成功した。さらにはこのシステムを培養細胞に応用し、実際にセントロメア蛋白質CENP-Hをコントロールすることで、オーキシン感受性変異細胞株を作成した。この細胞はオーキシン添加後、CENP-Hの速やかな発現抑制により細胞周期1サイクル以内に細胞がM期に集積し細胞死に至ることがわかった。これによりAID法が非植物細胞に広く応用できる可能性が示された。(本論文の記事が11月16日付、日経産業新聞に掲載されました)


論文へのリンク
http://www.nature.com/nmeth/index.html

滝澤研究室ホームページ
http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/~takisawa/Top.html





A: 代表的なオーキシンであるIAAとNAAの構造

B: AID法の作用原理。植物由来のF-box蛋白質TIR1を非植物細胞に導入することで、SCFTIR1ユビキチライゲースを細胞内で作らせる。標的タンパク質を植物由来のAXU/IAAと融合させることで、この蛋白質はオーキシン存在条件ではユビキチン化されてプロテアソームにより分解除去される。