研究分野

遺伝のしくみ
生命のあらゆる反応を指令する遺伝情報の実体はDNAという物質です。私たちの体の皮膚や内臓や筋肉を作っている細胞は、たったひとつの受精卵が分裂を繰り返してできたものであり、すべて同じ遺伝情報すなわち同じ塩基配列のDNAを持っています。繰り返し分裂しても細胞が同じ遺伝情報を持ち続けることができるのは、DNAを正確に倍加する「複製」というしくみがあるからです。またDNAにダメージが生じたときに元に戻す「修復」というしくみが遺伝情報を守っています。一方で、子は親に似ているけれど完全に同じではなく、また兄弟の間には必ず違いがあります。それは親から子へ遺伝情報が受け継がれるときに「組換え」という仕組みで遺伝情報が混合されるからです。細胞はどのようにしてDNAを正確に複製し、時として違った組み合わせの遺伝子セットを生み出すのでしょう。私たちの研究室では、このような生物の基本的な問題を分子のレベルで解き明かそうとしています。現存する生物は生物種によって遺伝情報も大きく異なっています。しかしながら基本的な生命反応である複製・修復・組換えなどの反応はどの生物種でも似たしくみで行われると考えられます。そこで複製など生命にとって普遍的なしくみを明らかにするためには、単純で解析の容易な生物を用いる方が明解な解答が得られると考え、単純な真核生物である酵母を用いてDNA複製や遺伝情報の安定な維持の研究を進めています。

DNAマイクロアレイという方法を用いて分裂酵母染色体の複製開始点を網羅的に解析した。横軸は染色体の位置を示し、茶色は複製タンパク質Orc1の結合部位、緑は実際に複製した場所を示す。2つが良く一致している場所が複製開始点。

升方研究室へ

細胞の増えるしくみ
生物は細胞から出来ています。細胞は分裂して増えるときに、細胞を作る設計図、遺伝情報であるDNAを正確に倍にして娘細胞に分けます。細胞は増えるだけではなく組織や器官を作る特殊な細胞に変化します。この過程では、設計図の読みとり方が細胞によって変化します。また、正常な細胞は無限に増え続けることが出来ません。いつしか老化して増えなくなります。さらに、細胞が生物の形を作る過程などで死ぬことから、細胞死のプログラムは設計図に書き込まれていることがわかっています。これまでの研究から細胞が持つこれらの特性には、単細胞の酵母から多細胞のヒトまで驚くほど共通性のあることが次々に発見されています。生物は30億年程前にたったひとつの細胞から進化して出来たと考えると、共通性を持つことは当たり前でもあり、このような共通性を持つ細胞が互いに異なる生物を作っていることがとても不思議でもあります。細胞の持つこれら基本的な性質を調べることで、どのようにして生物が出来たのかという疑問に答えることが出来るのではないかと考え、カエルや動物培養細胞を用いて研究を進めています。

滝澤研究室へ

蛋白質の構造
酵素・蛋白質はちょうど機械(生物マシーナリー)のように、固有の立体構造をとってそれぞれの機能を発揮しています。したがって、それぞれの反応に関与している酵素・蛋白質の構造を知り、それらが各反応とどう関連するのかを調べることは大きな意義があります。
 生体内では、酵素や蛋白質が単独で働いている場合もありますが、例えば筋肉のように多数の蛋白質が集合して、より高度な機能が生まれる場合も多くあります。生物と深いかかわりを持つウイルスもその一例でしょう。単純なウイルスでは、核酸と蛋白質からなる複合体ですが、細長い核酸はコンパクトに折れたたまれて、その周囲は蛋白質で保護されています。ここでは長い核酸を、それに比べればずっと小さい蛋白質が効率よく包むという精巧な仕組みがあります。また、ウイルス粒子が細胞内に侵入すると、蛋白質の殻が壊れ内の核酸が細胞中へ放出される仕組みや、合成された核酸や蛋白質の多数のコピーが自発的に集合し、元と同じ形・大きさをしたウイルス粒子を形成します。このような蛋白質の働きは、その立体構造に依存しています。立体構造に基づいて機能を理解し、ひいては生命現象を物理化学的な言葉で記述しようとしています。
 光合成系や窒素固定系におけるエネルギー生成と共役した電子伝達(酸化還元)系の生化学的研究も行っています。窒素固定においては、マメ科植物と根粒菌の共生について、分子レベルの相互作用も研究しています。また生物界には、鉄と硫黄からなるクラスターを持つ蛋白質が普遍的かつ多種類存在し、各々は酸化還元や酵素反応など重要な働きをしています。このような鉄硫黄クラスターの形成を司る蛋白質の構造と機能を解析しています。
X線解析によって明らかにされた球状植物ウイルスの構造(立体図)
X線解析によって明らかにされた球状植物ウイルスの構造(立体図)
赤、緑、青の蛋白質(いずれも化学的に同一)が対称的に集合して、殻を形成している。この中に遺伝情報を持つ核酸が詰め込まれている。ウイルスが細胞内に侵入すると、この様な蛋白質の殻がこわれてウイルス核酸が細胞中に放出される。その後、細胞内で合成されたウイルス核酸や多数の蛋白質が集合してウイルス粒子が再生される。

福山研究室へ

酵素・蛋白質のデザイン(蛋白質工学)、高度好熱菌のDNA修復機構
酵素・蛋白質はアミノ酸が一定の順序でつながり、これが立体的に折れ畳まれてはじめて機能を発揮します。そこで、「酵素蛋白質分子がなぜあのような立体構造をしているのか、なぜあのようなすばらしい機能を発揮できるのか」ということを、最新のバイオテクノロジー技術を使って研究しています。将来、新たな機能をもつ蛋白質分子が自由に設計できるようになることを目指しています。
 また、DNA修復系では、多くの蛋白質が協同して働き、様々なDNA障害を取り除いて、我々の身体が癌化するのを防いでいます。これらの反応を理解するためには、そこに関与している酵素・蛋白質の機能や性質を調べ、さらに反応のメカニズムを解明することが重要です。そこで、それらの研究に適した高度好熱菌を材料とし、反応に関与する生体分子の立体構造をX線結晶解析法・核磁気共鳴法(NMR)・電子顕微鏡などを用いて解析し、生命現象の基本原理を物理や化学の言葉で理論的に記述して、反応機構等の解明を行っています。複雑に見える生命現象も、分子レベルで物理的あるいは科学的に本質が理解できてみると意外に単純なことがよくあります。物理化学的に理解できれば、その現象の予測もできるようになり、様々な応用も可能となります。例えば、上述の「蛋白質工業」は将来工学へ、「DNA 修復系の研究」は医学へ、それぞれ貢献すると期待されています。
最新鋭のX線結晶解析装置とペルオキシダーゼの立体構造
左:最新鋭のX線結晶解析装置、右:ペルオキシダーゼの立体構造
2AH + H2O2 → 2A.+2H2O を触媒するヘム酵素。図中央のヘム(赤茶色)上で上記の反応が迅速に起こる。この酵素は生体内で有害な過酸化水素(H2O2)の除去だけでなく、さまざまな活性分子種(2A.)を生成して、代謝にも関与している。

倉光研究室へ

感覚の生物学
人をはじめとして動物はすべて、外界からの刺激を感覚情報として利用しています。例えば、見る、臭う、味わうの感覚はそれぞれ、光、空気中に漂う化学物質、水中の化学物質を感覚刺激とし、情報源として利用したものです。これらの刺激によって、どのようにして感覚が引き起こされるのか、そのメカニズムを明らかにしたいと考えています。
 感覚が生じるには物質レベルでの刺激の受容、細胞レベルでの刺激の受容、刺激受容細胞(感覚細胞)から中枢への感覚信号の伝達、中枢における感覚情報の処理といった過程が必要です。細胞レベルでの刺激受容機構を明らかにすることを目標に、感覚受容にかかわる各種蛋白質がどのように機能するのか、感覚細胞が備えている順応の機構はどのようなものか、感覚細胞はどのようにして構築されるのかについて研究を進めています。細胞を知るためには多種多様なアプローチの仕方が必要ですので、研究テーマに応じていろいろな研究手法を使っています。

最新鋭のX線結晶解析装置とペルオキシダーゼの立体構造最新鋭のX線結晶解析装置とペルオキシダーゼの立体構造
左:光応答測定のための桿体視細胞の電極内への吸引。右:錐体特異的発現蛋白質による錐体視細胞の免疫組織像

河村研究室へ(生命機能)

記憶のしくみ
脳は膨大な数の神経細胞のつくるネットワークです。記憶は、そのネットワーク内で情報伝達の効率や神経細胞どうしのつながり方が経験によって変わることで生じます。しかし、その仕組みはまだ十分に明らかになってはいません。私たちは、ネズミの脳組織や神経細胞をガラス器内で培養して小さな神経ネットワークを再現し、活動によってひき起こされる変化を研究しています。このような単純な系でも、刺激によって情報の流れ方が変わり、それが長期間維持されます。そのとき、細胞内ではどのような反応が起きているのかを、たとえば細胞内のカルシウム濃度の変化や各種の酵素のはたらきなどに注目して、調べています。
記憶のしくみ
培養した神経細胞に微細なガラス管を刺し、信号物質を注入すると、注入部位からカルシウム濃度の上昇が波のように細胞内にひろがる(青_黄_赤の順に高濃度;0.5秒おき)。

小倉研究室へ(生命機能)

筋収縮制御のしくみ
神経からの電気刺激により筋細胞の筋小胞体からカルシウムが遊離し、これが引金となって筋肉は収縮します。その後、カルシウムは再び筋小胞体内へ回収され筋肉は弛緩します。このような特別に発達した筋肉細胞をどのようにしてできてくるのでしょうか、その仕組みを調べています。一方、重要なタンパク分子はミオシンとアクチンです。ミオシンがATPを加水分解して得たエネルギーを使って、アクチン線維の上を移動するとき張力が発生しますが、その詳しい仕掛けはまだ解明されていません。またトロポニン−トロポミオシンというカルシウム結合性の制御タンパクが、どのようにしてミオシンとアクチンをスイッチオンオフさせるのか、また、筋小胞体のポンプタンパク質がどのようにしてカルシウムを取込むのか、私達はタンパク質が相互作用し巨大化して働いている現場を原子〜分子レベル(1000万分の1mm〜10万分の1mm)で捉えようと、新しい方法を開発して研究しています。最近では、神経のモータータンパク・キネシンや網膜の光スイッチロドプシンの動く仕掛けも研究しています。

記憶のしくみ

荒田研究室へ

植物の形を作るしくみ
植物は、遺伝的プログラムに従って決められた形態を作るとともに、光、温度、湿度、重力やまわりの植物などの環境に応じて形を大きく変えます。私達は、植物形態形成の本質的な問題を解明するため、遺伝学的、分子生物学的、細胞生物学的手法を駆使して研究を進めています。

(1)細胞間シグナル分子を介した形態形成の調節機構
 植物ホルモンの中でも、特に、植物細胞の分裂と分化の調節因子であるサイトカイニンに力を注いできました。私達は、これまでにサイトカイニン合成酵素と、サイトカイニンの受容体を発見しました。また、これらをコードする遺伝子を人為的に操作して、サイトカイニンの役割を詳しく調べています。また、植物には、いわゆる植物ホルモン以外にも細胞外に分泌されて細胞間のコミュニケーションを担う分子が存在するのではないかと考え、ゲノム情報を利用して探索しています。これまでに、気孔を適切に配置するためのシグナル分子などを見出しました。これら以外にも、細胞間のコミュニケーションを介して植物が成長する仕組みについて取り組んでいます。

未分化細胞塊であるカルスには葉や芽は形成されないが(左)、私たちが発見したサイトカイニン合成酵素遺伝子を導入すると葉や芽が形成される(右)。

(2)細胞骨格と細胞壁セルロースの構築

 動物細胞と異なる仕組みで細胞分裂をしている高等植物細胞が、どのような機構で紡錘体の形成を制御し、細胞分裂を完遂させるのかを分子レベルで明らかにしようとしています。また細胞分裂・伸長生長のプロセスに不可欠であるにもかかわらず理解が進んでいなかった細胞膜上でのセルロース合成機構の研究をしています。

柿本研究室へ

植物の生態学と生理学の境界領域
生物の機能を研究するとき、ある機能がどのようなメカニズムによってもたらされるのかを考えるHow疑問と、生物がそもそもどうしてそのような機能を持つにいたったのかを考えるWhy疑問の2種類の疑問を発することができます。植物の機能に関するWhy疑問に答えるためには、野外で生活する植物の生理を研究し、その機能が進化してきた過程と環境とを把握する必要があります。わたしたちはこのような観点に立って、植物にとって基本的な機能である光合成と呼吸が、光や温度などの物理環境やウイルスなどの感染によってどのような影響を受け、どのように馴化するのかを研究しています。森林生態系の機能の解明という大きなテーマの下で、樹木を使った研究にも力を入れています。植物は固着性ですが、細胞の中で葉緑体は活発に運動します。また茎や葉の伸長成長は環境によって大きく変化し、植物のかたちを変えます。これらは動物の運動に対応する反応であるといえます。光が葉緑体運動におよぼす影響や、光や植物ホルモンが茎や葉の成長におよぼす影響について、細胞骨格や細胞の形態に注目しながら研究しています。

記憶のしくみ
左図:葉緑体は細胞間隙に面した細胞壁に沿う。A:ホウレンソウの表側表皮と柵状組織の横断切片。上方左の矢じりは気孔 B:イズセンリョウの柵状組織の並皮切片(表皮に平行に切った切片)。橙点の部分が細胞間隙。CO2濃度を感じてCO2を受け取りやすい場所に定位している可能性がある。 右図:植物のミトコンドリアの呼吸鎖。 植物に特有な酸化酵素(AOX) は,ユビキノンから電子を受け取り酸素を還元する。電子伝達の際にプロトンを輸送しない。プロトンの電気化学的ポテンシャル差を解消する脱共役タンパク質(UCP)も存在する。

高木研究室へ

遺伝子の発現
細胞は自分を取り巻く環境に敏感に反応し、自己を守るために様々な仕組みを働かせて応答します。
 遺伝子発現を調節する仕組みもその一つです。生物は遺伝子発現を変化させるために転写を調節する仕組みを発達させていることは古くから知られていましたが、最近になって転写されたmRNAを消去する過程1−mRNA分解−の速度を調節することによって遺伝子発現を変化させる新しい仕組みが発見されました。どのようにmRNAを分解するのでしょうか? その速度はどのように調節されているのでしょうか? 環境への応答はまた遺伝子発現調節とは異なった形をとることもあります。環境の悪化、栄養の枯渇、外的因子による細胞膜の損傷などの不都合を乗り越えるために、細胞には環境因子を感知してより良い環境へ移動し、また損傷を受けた箇所を速やかに修復する能力が備わっています。それはいったいどのような仕組みなのでしょうか?これらの問いに答えるために私たちは研究に取り組んでいます。


米崎研究室へ

卵から体ができるしくみ
ヒトを含め多くの動物の受精卵は数百ミクロンの丸い形をしていて、一個の細胞です。これが個体の一生の出発点ですがそれが細胞分裂をくり返し多細胞になり、筋肉や神経などの細胞を作り、さらに形づくりをおこなって体ができあがっていきます。この神秘的ともいえる現象はどのように制御されているのでしょうか。このような問題を解明するために、発生学の研究に多くの利点を持つ脊索動物尾索類を実験材料として用い、卵からオタマジャクシができてくるまでの胚発生過程を解析しています。顕微胚操作、遺伝子組換え(遺伝子導入、遺伝子ノックダウン)、電子顕微鏡、ゲノム情報などを駆使しつつ研究教育に取り組んでいます。

(上)4細胞期(受精後3時間)。(中)マボヤの孵化直前のオタマジャクシ幼生(受精後35時間)。(下)細胞系譜。初期胚のどの細胞が、オタマジャクシのどこになっていくかを表している。

西田研究室へ

動物の発生と進化

研究概要
動物の個体発生と系統発生を中心に研究を進めています。具体的には、イカやタコの腎臓に住んでいるニハイチュウという動物の総合的研究を目指す一方、ヤツメウナギやマウスなどの神経冠の発生の研究を通して脊椎動物の体制の成立の問題を追求しています。

研究内容
(1)ニハイチュウの生物学  ニハイチュウはその体が30ケ前後と、動物界で最も少ない数の細胞からできています。そのため、単細胞の原生動物と多細胞の後生動物をつなぐ「中生動物」とも見なされてきました。また、細胞分化などを研究する上で、最もシンプルなモデル動物になることも期待されています。わたしたちは、ニハイチュウの分類、個体発生に関係した遺伝子、微細構造、生活史戦略など、ニハイチュウの総合的研究を行っています。一方、宿主のイカやタコについても、ニハイチュウとの共進化の観点から、その分子系統樹の作成などを進めています。
(2)神経冠発生機構の進化発生生物学
神経冠は、脊椎動物胚に特有の組織です。そして、末梢神経や頭部の軟骨など脊椎動物を特徴づける組織・器官の発生に深く関わっています。そこでわたしたちは、分子細胞生物学的手法を用いてマウス神経冠の発生機構を解明しようと試みています。また、原始脊椎動物に近い体のつくりを持ったヤツメウナギの神経冠発生機構を解析し、神経冠の進化的起源を探っています。


(図1)ニハイチュウの蛍光顕微鏡写真。DAPI染色により細胞核が光って見えている。
( 図2) 移動中のマウス神経冠細胞 (神経管(NT)の外側の緑)。

学際グループへ

生命現象を1分子レベルで解明
細胞は蛋白質や核酸,脂質などの様々な生体分子を要素として,生物らしい柔軟な情報処理機能や運動機能が自律的に組織化・階層化されたシステムです。近年の光学顕微鏡技術の進展により,生きた細胞の中の生体分子の振る舞いを1分子レベルで観察することが可能になってきました。こうした最先端の1 分子イメージング技術と理論・数理モデル解析を組み合わせることにより,細胞における様々な生命現象の動作原理を1分子粒度の解像度で解明することを目指しています。特に,細胞の運動・増殖・様々な刺激に対する応答に関与する細胞内シグナル伝達の仕組みについて研究しています。単なる物にすぎない生体分子が反応ネットワークを構成し,システムをつくることによって生き物に転ずる仕組みを理解したいと考えています。

左: 細胞内1分子イメージング装置を用いた実験の様子。右: 生きた細胞内でのシグナル伝達分子の1分子画像。

上田研究室へ

細胞生物学
生物の形態はすばらしく多様です。我々の研究室は、動物の組織・器官が、遺伝的にプログラムされた形態につくりあげられていく際に、細胞がどのような機能を発揮しているのかに興味を持っています。遺伝学を用いた研究を容易に行えるショウジョウバエを用いて、この問題にチャレンジしています。ショウジョウバエは「生きた試験」と言えます。化学では、試験管内の物質を混ぜ合わせて反応を調べます(AとBからCができる)。ショウジョウバエでは、突然変異の雄と雌を交配して(AとBの突然変異)、二つの突然変異を同時にもったときにどんなことになるのかを調べます(Cの個体)。突然変異では、遺伝子が壊れています。このため、二つの突然変異を同時にもつショウジョウバエを調べると、壊れた二つの遺伝子の機能的な関連がわかります。 我々の研究室は、特に、ショウジョウバエの内臓が左右非対称になるしくみや、生物の形態が形成されるときに必須な細胞間のコミュニケーションのしくみに興味をもって研究を進めています。これらの研究では、遺伝学を用いた遺伝子の同定、コンピュータを用いた理論的なモデルづくり、生物が発生する物理的「力」の計測などの手法を用いています。

松野研究室へ