学際グループ(理論生物学)

Laboratory of Interdisciplinary Biology

准教授
藤本 仰一 (Koichi FUJIMOTO)
mail fujimoto @ bio.sci.osaka-u.ac.jp
特任准教授
ヘンリッヒ トルステン (Thorsten Henrich)
mail henrich @ bio.sci.osaka-u.ac.jp
助教
北沢 美帆 (Miho S. Kitazawa)
mail kitazawa @ celas.sci.osaka-u.ac.jp
特任助教
松下 勝義 (Katsuyoshi Matsushita)
mail kmatsu @ bio.sci.osaka-u.ac.jp
研究分野

学際

所属

理学研究科

ロケーション

豊中地区

研究内容

 生命現象の複雑な振る舞いを数理の言葉で理解すべく2008年12月にスタートした研究室です。体軸形成や生活環といった発生過程や環境応答は分子ネットワークに制御され、ゲノム上の変異の蓄積はネットワークに構造変化を促し、発生過程を進化的に多様化させたと考えられます。私たちは、分子レベルの機能理解や高い定量性を持った測定技術と協同して、ネットワークレベルの機能や進化を物理学や数学に基づいて理解することを目指しています。現在、複雑で多様な体作りを理解する為に形態形成を導く遺伝子発現パタン制御の進化に着目し、また、細胞の自律性と集団性の関係を探る為に細胞内シグナル伝達が生み出す真核細胞の集団的振る舞いに着目し、数理モデルの構築と解析を行っています。

進化発生(evo-devo)への数理モデルアプローチ

 多様な節足動物の胚発生では、前後軸方向に体節形成を導く遺伝子発現のストライプ状空間パタンの作られ方に顕著な違いが現れます。代表的な長/短胚型発生の調節遺伝子群の相同性は、転写因子ネットワーク構造の違いによる発生多様化を示唆しますが、ショウジョウバエ以外の種についてはごく一部分のネットワークしかわかっていません。そこで、転写因子が空間パタン形成する発生過程を反応拡散方程式でモデル化し、数百の転写ネットワークを計算機上で進化させ、ネットワーク構造とパタン形成様式の対応を網羅的に調べています。その結果、長/短胚型に特徴的なパタン形成を示すネットワークにはそれぞれfeed-forward / feed-back loopという部品が必須であることを見出しました(図1)。部品の構造とストライプ形成機能を数理の言葉で結びつけ、現実の遺伝子発現パタンとそのノックアウト表現型から未知のネットワーク構造の推定を進めています。加えて、祖先型とされる短胚型から長胚型への進化的転移を計算機上進化実験で構成し、ネットワーク構造やパタン制御機構の進化の道筋を探しています。

細胞内/間シグナル伝達ダイナミクスの定量的な解析

 社会性アメーバ Dictyosteliumは、環境に応じて単細胞状態と多細胞状態を遷移する生活環を持ちます。細胞間相互作用を担うcAMPや細胞内シグナル伝達分子について定量性の高い実験と協同し、生化学や分子遺伝学と整合性を保ちながら、幅広い時間スケール及び濃度スケールにまたがる細胞内/間シグナリングの定量的な数理モデルを構築しています。自己組織化、引き込み、モデル縮約、集団運動、揺らぎといった非線形数理や統計物理の概念を活用して、単/多細胞レベルの振舞の相互関係を解析しています(図2)。

複雑系としての生命システム

 これらの研究テーマに共通する興味は、多数の時間スケール(シグナル伝達、発生、進化)や空間スケール(細胞、組織)が複雑に絡み合う生命システムの階層性です。異なる階層の相互関係を捉えるための基礎理論の構築にも取り組み、複雑系としての生命システムの理解深化を目指しています。

図0 右より短、長胚型の発生模式図と見出された基本的なネットワーク構造。△がfeed-back loop, *がfeed-forward loop。

図1 実験と数理モデルにより推定された細胞内シグナリングのフローチャート。細胞に内在するシグナル応答の個体差。

参考文献

坪井 有寿、藤本 仰一 アポトーシスにより空いた隙間をめぐる力学的な細胞競合──数理モデルからの予測 医学のあゆみ 257(4) , 311 - 316 (2016)

M.S. Kitazawa and K. Fujimoto. Relationship between the species-representative phenotype and intraspecific variation in Ranunculaceae floral organ and Asteraceae flower numbers Annals of Botany 117(5) , 925 - 935 (2016)

M.S. Kitazawa and K. Fujimoto. A Dynamical Phyllotaxis Model to Determine Floral Organ Number. PLoS Comp. Biol. 11(5): e1004145 , (2015)

M.S. Kitazawa and K. Fujimoto. A Developmental Basis for Stochasticity in Floral Organ Numbers. Frontiers Plant Sci. 5: 545 , (2014)

K. Fujimoto and S. Sawai. A Design Principle of Group-level Decision Making in Cell Populations PLoS Comp. Biol. 9(6): e1003110 , 1 - 13 (2013)

T. Gregor, K. Fujimoto, N. Masaki, and S. Sawai. The Onset of Collective Behavior in Social Amoebae. Science 328 , 1021 - 1025 (2010)

K. Fujimoto, S. Ishihara and K. Kaneko. Network Evolution of Body Plans. PLoS ONE e2772 , (2008)

連絡先

豊中市待兼山1-1 大阪大学 理学研究科 生物科学専攻
准教授 藤本仰一
居室: 理学研究科本棟C420
Phone/FAX: 06-6850-5822
Email: fujimoto @ bio.sci.osaka-u.ac.jp


Thorsten Henrich, Ph.D., Associate Professor
Osaka University,
Chemistry Biology Combined Major Program,
International College
5th floor of Interdisciplinary Research Building, room 509
1-2 Machikaneyama-cho, Toyonaka,
Osaka 560-0043,
Japan
Tel: +81-6-6850-5578
Fax: +81-6-6850-5961
Email: henrich @ bio.sci.osaka-u.ac.jp
http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/~henrich/

http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/~fujimoto/

http://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/~fujimoto/