教育と支援
生物科学専攻ってこんなところ!
生物科学専攻の在学生、卒業生からのメッセージです。あなたたちよりも少し前に、同じ空間の中で活動した、あるいは活動している人たちの声です。
卒業生の声(企業の研究所、ポスドク)
- 「凹凸のある毎日で育てよ“個性”」熊本大学大学院生命科学研究部機能病理学分野 助教 新森(喜多)加納子
- 「大学院に行ってよかった!」サントリービジネスエキスパート(株)植物科学研究所所属 興津奈央子
- 「It’s all up to you」Paul Scherrer Institut博士研究員 前田将司
- 「大学は素晴らしい出会いの場」日本学術振興会海外特別研究員 (所属、カリフォルニア大学リバーサイド校) 宮脇香織
- 「科学的思考のトレーニング」フランス国立科学研究センターポスドク研究員 根岸剛文
- 「阪大からアメリカ→シンガポールへ」 シンガポール国立大附属テマセック生命科学研究所 甲斐歳江
- 「日進月歩の技術に対応できる恵まれた環境」 大正製薬(株)医薬研究所勤務 西本伸
大学院の生活(豊中キャンパス、吹田キャンパス、連携併任講座)
- 「『考える力』を学んだ研究室生活」 博士前期課程2年 表迫竜也
- 「大学の特色を利用して、自分なりのアプローチを」 博士前期課程2年 吉田真明
- 「目標と好奇心で研究生活を有意義に」 博士後期課程3年 西内涼子
- 「学会やワークショップへの参加が院生生活のスパイス」 博士後期課程2年 酒井友希
- 「研究から得られる全てを受け入れていく」 博士後期課程2年 岩本明
- 「生き物の研究の面白さ、共有したい」 博士後期課程3年 山口真未
卒業生の声(企業の研究所、ポスドク)
「凹凸のある毎日で育てよ“個性”」

新森(喜多)加納子
熊本大学大学院生命科学研究部機能病理学分野 助教
平成14年 長崎大学水産学部水産学科卒業
平成16年 大阪大学大学院博士前期課程卒業(理学研究科 生物科学専攻)
平成19年 大阪大学大学院博士後期課程卒業(理学研究科 生物科学専攻)
平成19年 博士(理学)取得
平成16年5月〜平成18年2月 21世紀COEリサーチアソシエイト(大阪大学・蛋白質研究所)
平成19年5月〜平成19年12月 文部科研研究員(熊本大学発生医学研究所)
平成20年1月〜平成22年3月 グローバルCOE リサーチアソシエイト(熊本大学発生医学研究所)
平成22年4月〜平成22年10月 産学官連携研究員 (熊本大学大学院生命科学研究部)
平成22年11月〜 現所属
「大学院に行ってよかった!」

興津奈央子
サントリービジネスエキスパート(株)植物科学研究所所属
平成17年 生物学科卒業
平成19年 生物科専攻博士課程前期卒業
研究テーマ:モデル植物であるシロイヌナズナを用いて、葉の形態形成に関わっている新規遺伝子の探索と機能解析(植物生理学研究室の柿本教授ご指導のもと)
「It’s all up to you」

前田将司
Paul Scherrer Institut博士研究員
平成18年 博士後期課程単位修得退学
平成21年 理学博士学位取得
平成22年 現所属
「大学は素晴らしい出会いの場」

宮脇香織
日本学術振興会海外特別研究員 (所属、カリフォルニア大学リバーサイド校)
平成12年 生物学科卒業
平成18年 理学博士学位取得
平成23年 現所属
「科学的思考のトレーニング」

根岸剛文
フランス国立科学研究センターポスドク研究員
平成16年 生物学科卒業
平成21年 博士後期課程修了
平成22年 現所属
「阪大からアメリカ → シンガポールへ」

シンガポール国立大附属テマセック生命科学研究所
高校生の私が阪大を目指した理由は、やはり分子生物学の充実したカリキュラムを期待してのことでした。入学以後、多様な実習や授業を通じて、生物学への知見を深めることができました。さらに、最先端の研究で知的好奇心を充足させることができたら、また科学の発展に少しでも寄与できたら、という思いから大学院生物科学専攻へ進学しました。
大学院では大腸菌に感染するT4ファージという、分子生物学黎明の立役者となった古典的なウイルスの遺伝子発現制御をテーマに研究に従事しました。思い返せば、大学院生時代という研究者マインドの根幹を成長させる時期に非常に都合のよい材料(ライフサイクルのターンオーバーが早く、思い立った実験を即実行、結果を検証できる)とめぐり合えたことはすこぶる幸いだったと思います。
生物科学専攻で学位を取得した後、ポスドク(博士研究員)として渡米し、カーネギー研究所でショウジョウバエの生殖幹細胞の研究に従事しました。まったく異なるテーマ、しかも多細胞の世界へと研究テーマを大きく変更し、慣れないアメリカで紆余曲折がありましたが、気がつけば7年も研究三昧の日々を送った後、このたびシンガポールでさらに自分のテーマを持ち独立して研究室を運営する運びとなりました。
PIになるというのは研究者としてのステップのひとつでしかありませんが、実際に自分が研究をドライブし、院生を指導する立場に立ってみて、その難しさを実感しています。実感するにつけ、改めて学部、大学院時代の先生方に頭が下がる思いがしています。そういった意味合いにおいて、私が阪大時代に出会ったいずれの方々も優れた教育者であり、研究者でした。これから阪大の生物科学専攻を志す方々にも、良き出会いが自らの今後の人生を大きく左右するのだという自覚を持って阪大を目指していただきたいと思います。どんな恵まれた環境も、出会いも、糧にできるのは自分次第です。大阪大学大学院生物科学専攻は貴方の期待に充分応えることができる場でありましょう!
「日進月歩の技術に対応できる恵まれた環境」

大正製薬(株)医薬研究所勤務
平成7年 生物学科卒業
平成9年 生物科学専攻博士課程前期卒業
大学院を修了し、1997年に大衆薬で有名な大正製薬に入社しました。現在、医療用医薬品の開発を目指して病態発症に関与する遺伝子群の同定、機能解析を進めています。配属先である標的分子研究室では主に分子生物学、生化学的手法を用いて遺伝子の発現変動の確認、クローニング、蛋白質の活性測定などを行っています。
DNAの構造が解明されて50年を経た今年、ヒトゲノム完全配列の公開など分子生物学花盛りという様相を呈しています。技術は想像を超える速さで進歩し、日々様々な情報が得られます。しかし、遺伝子ありきでは解決されないことも多く、今一度生命現象に立ち返ることが必要とされています。生物科学専攻では、「生化学・生理学的視点から興味深い現象を見つけ出してメカニズムを解明する」という研究方法を得意として実践していますので、これから大学院に進んで研究生活を送る皆さんにとってたいへん恵まれた環境と思われます。皆さんが阪大での研究生活を通して次代を担う研究者として大きく育たれることを心から期待しています。
大学院の生活(豊中キャンパス、吹田キャンパス、連携併任講座)
「『考える力』を学んだ研究室生活」

生物科学専攻 発生生物学研究室(西田研究室)
どこの大学、学部であっても大学で学ぶことは『情報を集める力』『考える力』『表現する力』の3つであると考えています。そして大阪大学理学研究科生物科学専攻は、学ぼうとする学生に対して積極的にこの力を学ぶ環境を提供してもらえる場であると思います。研究室での生活を例にとると、自分の興味のある現象に対してテーマを設定し、それを明らかにする為に必要な情報を論文や様々な知識を持った先生、先輩、友人を通じて収集します。そこから具体的なプロセスを考え実際に実験を行います。そして得られた成果を学会等を通じて世界中の人々に表現していきます。ここでは長期的視点でとらえた研究室生活を例にしましたが、1日の生活の中でも毎日がこの3つを学ぶ機会に満ちあふれています。
その中でも私が特に感じる大阪大学理学研究科生物科学専攻の特色は、『考える力』を学ぶ環境が整っていることです。自分よりも圧倒的に広い視点で物事を考えている人が周りには沢山おり、そういった人々とディスカッションをしていくことで自分の見えていなかった視点で物事が考えられる様になります。毎日が学ぶことが多すぎてボロボロになりながら生活を送っていますが、そういった成長の機会の中で生活する日々は充実していると言えます。そんな尊敬できる人々が沢山いる、協力してくれる大阪大学理学研究科生物科学専攻をぜひぜひ見に来てください。(2012年5月)
「大学の特色を利用して、自分なりのアプローチを」

生物科学専攻 系統進化学研究室
大阪大学の生物学科は、分子レベルの生物学に重きを置いていて、学部でも非常にハイレベルな授業を受けることができます。その反面、分類や系統進化については図書館に文献も少なく、困ることもあります。私は学部時代に他大学の臨海実習へ参加して、無脊椎動物に興味を持つようになりました。また学会に出かけて行って、動物の進化に関わる研究がしたいと思うようになりました。与えてもらう情報だけに甘んじていては、一面的な見方しかできません。ある一つの生物をとってみても、見方次第でいろいろなことを発見できると思います。私はせっかく大阪大学にいるのですから、分子レベルの知識を活かして新しいアプローチで進化に迫りたいと考えています。
「目標と好奇心で研究生活を有意義に」

蛋白質研究所/細胞外マトリックス研究室(関口研究室)
研究室にいる時間は平日10時〜夜の11時くらいまでで、土日もどちらかは来ています。実験だけでなく、文献調査や論文執筆もあって忙しいですが、自分でペースを決められるので苦にはなりません。研究室には、生物・化学だけでなく、薬学や獣医学など、さまざまなバックグラウンドを持つ方がいらっしゃいます。実験設備も充実していますし、学内にある生命科学図書館では欲しい文献がほとんど手に入りますので、研究環境はとても良いと思います。研究は自分の思い通りになることは少なく、失敗が連続することもあります。1ヶ月も実験が進まないとさすがに落ち込みますが、その苦労を乗り越えて結果が出た時の喜びは格別です。どんなに小さな発見でも、結果が出ればとてもうれしいですし、研究をしているからこそ経験できることだと思います。
これから大学・大学院に進学しようとする人にとって必要なのは、大学院修了後の明確な目標か、旺盛な知的好奇心のどちらかを持っていることではないでしょうか。これがあれば、多少の苦労があっても、研究生活を有意義に過ごせるはずですよ。
「学会やワークショップへの参加が院生生活のスパイス」

理学研究科/植物生態生理学研究室(寺島研究室)
学会の醍醐味の一つは、色々な人と出会えることだと思います。ポスター発表にしろ、口頭発表にしろ、必ずディスカッションの場があります。その分野の大先輩の方々と知り合いになると、貴重なアドバイスや意見をいただけたり、他の先生を紹介していただけたりします。一緒にご飯を食べに(お酒を飲みに)いく幸運に恵まれると、昔の苦労話とか面白い話とかを聞くことができます。同年代の友達の輪も広がります。同じ分野に興味があるということですっかり意気投合できます。その上、実験のちょっとしたポイントとか、いろいろ情報交換ができたりするのでお得です。最近は、こうしてできた学会友達と会えるのも、学会に参加する楽しみの一つになっています。みんなの話を聞いたり、話を聞いてもらったりするおかげで、学会が終わる頃にはすっかりやる気になっているのです。
学会に参加するもう一つの醍醐味は、ちょっとした旅気分を味わえることです。開催地の独特の雰囲気や郷土料理が楽しめます。私がこれまで行った学会で一番美味しかったのは、やっぱり北海道です。ジンギスカンとトウモロコシとイクラが最高でした。その次が新潟です。わかめとお刺身が絶品でした。大阪では味わえない、とれたての材料を使った料理を食べて大満足でした。というわけで、地元で開催となるとちょっとだけがっかりします。
国際学会に参加すると、もっと刺激的です。ひとまず、頭の中はずっと英語です。見るのも聞くのも話すのも考えるのも全部英語。それでも国内の学会と同じように、色々な先生や学生と知り合えます。私は韓国であった光生物学会に参加したとき、韓国の女性研究者とルームシェアしました。夜中まで色々な話をしたことは忘れられません。研究の面だけじゃなく、とても勉強になりました。
私の院生生活は、このように学会やワークショップに参加できるおかげで、風味豊かなものになっていると思います。
「研究から得られる全て受け入れていく」

理学研究科/分子生物学・教育研究室(米崎研究室)
これからこの分野の大学・大学院に進学する人は、研究はきれいでも、楽でもないということを覚悟すべきだと思います。研究は作業したこと全てが評価されるわけではないため、方針が間違っていたりすると半年ぐらいの成果が無駄に終わる事もあります。しかし、苦労があった分、自分の考えていた結果が得ることができたときは心から研究をしていて良かったと思えます。「この分野の適性とは何か」と考えると、とにかく研究から得られることはすべて受け入れられる気持ちをもっているということではないでしょうか。良くも悪くも結果と自分自身が取ってきた行動と表裏一体で、誰かにその責任を負わすことができるものでもありません。研究で得た結果を常に前向きに楽しみ、独りよがりにならないことがこの分野をやっていくには大事な事だと思います。ここ大阪大学は環境は十分にそろっていますから、あとは成果がでるまでがんばることでしょうか。
「生き物の研究の面白さ、共有したい」

生物科学専攻/生命誌研究館(橋本研究室)
日頃は、朝九時から夜まで実験漬けがほとんどで、思うように成果が出なくて落ち込んだり、たまに面白い結果が出て喜んだり、一般的な院生生活を送っていると思います。ただし、いくつか生命誌研究館らしい行事もあり、それが、私が研究生活を送る上での原動力になっています。月に2回ある全館参加のセミナーでは、各研究室の研究成果はもちろんのこと、中村桂子館長や顧問のお話、「研究を表現する」研究についてなど、毎回いろいろな話が聞けます。学生も年に1、2回発表する機会があり、分野の異なった人達に研究を理解し、面白いと感じてもらうためにはどのような発表をしたらよいのか、というトレーニングになります。また、年に数回ある実験室見学ツアーやサマースクールでは、小学生からお年寄りまで、いかにいきもの研究の魅力について共感し合えるか、コミュニケーションの楽しさや難しさを味わえます。同じいきものの研究をしていても、どういう過程に魅力を感じるのかは人それぞれだと思いますが、私の場合、このような交流の場を通して、研究によって見えてきた生物の巧妙さをいろんな人と共感することが一番の楽しい瞬間です。
これから大学院に進学しようと思っているみなさんは、もちろん実験やいきものの不思議が大好きだと思います。けれども、それと就職とが直接結びつくことは希かもしれません。ですから、将来自分がどのように働きたいのか、しっかりと考えながら(迷いながらでも)院生生活を過ごすと、実験技術以外にも、とてもたくさんのことが大学院で学べ、いざ就職となったときにも必ず役に立つと思います。