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生物科学専攻ってこんなところ!

生物科学専攻の在学生、卒業生からのメッセージです。あなたたちよりも少し前に、同じ空間の中で活動した、あるいは活動している人たちの声です。

卒業生の声(企業の研究所、ポスドク)
大学院の生活(豊中キャンパス、吹田キャンパス、連携併任講座)
卒業生の声(企業の研究所、ポスドク)
「凹凸のある毎日で育てよ“個性”」 

新森(喜多)加納子
熊本大学大学院生命科学研究部機能病理学分野 助教

平成14年 長崎大学水産学部水産学科卒業

平成16年 大阪大学大学院博士前期課程卒業(理学研究科 生物科学専攻)

平成19年 大阪大学大学院博士後期課程卒業(理学研究科 生物科学専攻)

平成19年 博士(理学)取得

平成16年5月〜平成18年2月 21世紀COEリサーチアソシエイト(大阪大学・蛋白質研究所)

平成19年5月〜平成19年12月 文部科研研究員(熊本大学発生医学研究所)

平成20年1月〜平成22年3月 グローバルCOE リサーチアソシエイト(熊本大学発生医学研究所)

平成22年4月〜平成22年10月 産学官連携研究員 (熊本大学大学院生命科学研究部) 

平成22年11月〜 現所属

幕末動乱の世を疾風の如く駆け抜けた高杉晋作は、「鼻ぐりの無い暴れ牛」と呼ばれ松下村塾においてひと際個性が強く異質な存在であった。普通であればなかなか御せる様な者ではないが、吉田松陰は「気魄他人及ぶなく、人の駕御を受けざる高等の人物なり」と評価し、凡質からはるかに突き出た「奇士」に育つよう、その「個性」を生かした指導をされたそうだ。私はこの逸話を幼い頃両親から聞き、何より「個性」を大切にするように育てられました。そして、学問の礎を築いた私にとっての松下村塾がここ阪大大学院でした。私は元々水産学部出身で大学院に入るまで分子生物学的手法に触れたことすらありませんでした。入学当初はまさに「門前の小僧習わぬ経を読む」といった感じで、置いてきぼりにならないよう周りについていくことで精一杯でしたが、尊敬すべき師や気心の知れた仲間達と共に凹凸のある毎日を送る中で、自らの成長に手応えを感じていました。そして無事博士号を取得し、阪大で会得した発想力と技術を糧にポスドク生活を送っていたところを今のボスに見出され現在のポジションに就くことができました。現在所属する研究室は医学部にあり私のようなNon-MDの女性教官は大変珍しく、「どのような経緯で助教になれたの?」と皆によく尋ねられます。良く考えてみると、私はとても運が強く、ピンチが訪れると助けの神が現れるのです。これも人との絆を大切にしてきたことで救われてきたように思います。 まだまだ洟垂れ小僧の私ですが、これから学ばれる皆さんへ確信をもって助言できることがあります。それは、苦しいことも含め身の上に起こることを全て受け入れること。これが後の糧となり、この苦しみがなければ今のチャンスはなかったというような場面に出くわすことになる。そして、研究においてはオリジナリティーを大切にし、自由な発想で個性を決して埋没させないこと。型破りなくらいで結構。最後に、一番大切なことは、徳を積み、困っている人がいれば進んで手を差し伸べるくらいの心意気を持つこと。自分本位で研究だけが取り柄の無味乾燥な人間にはなって欲しくない。運も仕事も人が連れてくるものです。一人で出来ることには限界があること、人助けができる人は自らも必ず救われることを頭の片隅に入れておいてほしい。 ポスドクの就職難等科学の分野には不安要素もありますが、ここには私達を一人前の研究者に育ててくれる素晴らしい人達と環境があります。この世はまだまだ捨てたもんじゃありません。まだ粗削りで伸びしろのある皆さんがここで学び、生命科学の分野で大いに活躍されることを願っております。(2012年4月)

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「大学院に行ってよかった!」 

興津奈央子
サントリービジネスエキスパート(株)植物科学研究所所属

平成17年 生物学科卒業

平成19年 生物科専攻博士課程前期卒業

研究テーマ:モデル植物であるシロイヌナズナを用いて、葉の形態形成に関わっている新規遺伝子の探索と機能解析(植物生理学研究室の柿本教授ご指導のもと)

大学院卒業後、私はサントリービジネスエキスパート(株)植物科学研究所に就職し、もっと青いバラの開発に取り組んでいます。2004年に世界初の青バラSUNTORY blue rose APPLAUSEが誕生しましたが、その花色は、まだ淡い青紫色です。もっと青いバラを咲かせることを目標に、日々、バラやカーネーションなどを用いて、分子生物学実験や培養実験を行っています。  企業の研究職で働かせていただいて3年が経ちますが「大学院に行ってよかった」と思うことがいくつもあります。その中で、特に「よかった!」と思う3つをこの場でご紹介させて頂けたらと思います。  まず1つ目は、「論理的な考え方」を教えて頂けたことです。学部生時代は、分からないことがあっても誰かに答えを教えてもらえることが多かったのですが、大学院生時代は、研究が進んでいくにつれ、「誰も答えを知らない」ことに遭遇することが増えていきました。答えは、実験を組立て自分で見つけ出していくことになるのですが、その答えを人に納得してもらうためには、論理的な考え方によって導き出された根拠が必要になってきます。先生や先輩には、実験の手法や組立て方はもちろん、根拠を導き出す論理的な考え方も教えて頂きました。今現在も、研究に限らず人に納得してもらいたい場面では、「論理的に」を常に意識しています。  2つ目は、プレゼンテーションの機会の多さです。入社直後であってもMTGなどでプレゼンする機会があり緊張の連続なのですが、大学院の時に研究進捗報告セミナーや論文セミナーなど1ヶ月に1回弱のペースで場数を踏めていたことは、本当によかったと思います。  3つ目は、実験に対する気合と根性が養われたことでしょうか。今の私に仕事に対する気合や根性があるのは、修論という目標に向かって、なかなか結果が出ない中でも、成果が出ると信じてあきらめずに実験をし続けた2年間があったからこそではないかと思います。  私の場合、大学院で学ばせていただいたことは、上記3つのような今仕事をしている中で活躍していることが多いです。人によって、大学院で学ぶことは様々だと思います。ただ、大学院が、そこで出会う先生・先輩・同級生・後輩が、みなさんを成長させてくれることは確かです。みなさんにも、「行ってよかった!」と思えるような大学院生活を送っていただけたらよいなと思っています。(2012年2月) http://www.suntory.co.jp/company/research/hightech/blue-rose/index.html

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「It’s all up to you」 

前田将司
Paul Scherrer Institut博士研究員

平成18年 博士後期課程単位修得退学

平成21年 理学博士学位取得

平成22年 現所属

現在所属しているPaul Scherrer Institutはスイス北東部のドイツとの国境近くに位置するスイス最大の自然科学研究施設です。所内には歩いて10分ほどの場所に放射光施設であるSwiss Light Sourceがあり、蛋白質結晶を作っては持って行って測定するという、結晶構造解析にとっては便利な立地にあります。ここではヨーロッパを中心に多国籍な人が集まっていることもあって、言葉も個性も様々です。研究室に限って言えば物静かでゆっくりした人はごく希で、多くは主張の強い人です(研究者なので当たり前ですが)。彼らの押しの強さは日本人のそれを大きく凌駕していますのでなかなかそれに対応する(しかも英語で)のは未だに難しく感じます。  こちらに移ってからは、G-protein coupled receptor(GPCR)とその関連蛋白質の構造解析に携わっています。阪大では蛋白質研究所の月原研にて細胞間連絡チャネルであるGap Junction Channelの構造解析に携わってきていたのですが、膜蛋白質の扱いには慣れているとはいえ全く異なる種類の蛋白質ですので、その特性も扱いも異なります。また、研究や討論を進めていくためには新しい蛋白質についての基礎知識や用いる分析手法なども一から学ばなくてはならず、慣れるまでは何をするのも手探りでした。  海外でポスドク生活をするのははっきり言って非常に大きな困難を伴います。言葉の問題、生活スタイルの違い、研究体制・テーマの違いなど、すくなくとも自分はそうでした。ですが、そうしない限り得られない経験があるのと同時に、「異なる環境」に適応していく思考や行動のしなやかさを身につけるための良い機会でもあります。結局の所、日本だろうと海外だろうと、どのような環境もそれにどう対処して何を得るかは自分自身の心がけと行動次第なのだと思います。幸い、阪大は非常に恵まれた環境と指導者の方々が揃っています。ですが、それを活用し、自分の修練に変えていくのは先生がたでも先輩でもない、そこにいる皆さん自身です。私も今から思えばもっとたくさん学ぶ姿勢があれば学べたと反省していますが、皆さんはそれをこれから経験できるのです。全力でめいっぱい吸収できるものを取り込んで下さい。そのときは何も自分にもたらさないかも知れません。でもどんなことでも思わぬところできっと後々自分の糧になりますよ。(2012年1月)

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「大学は素晴らしい出会いの場」 

宮脇香織
日本学術振興会海外特別研究員 (所属、カリフォルニア大学リバーサイド校)

平成12年 生物学科卒業

平成18年 理学博士学位取得

平成23年 現所属

幸せの定義は人それぞれだと思いますが、私は「自分らしく」あることが幸せであると考えています。私が研究者の道を選んだのは、研究活動とは自らのスタイルを追求することだからです。研究を志し、学び、そして継続する時には、そこに人々との「出会い」があったように思います。 私は大阪大学の理学部生物学科に入学し、学部四年生の卒業研究、博士前期・後期課程に渡って柿本辰男教授にご指導を頂きました。卒業研究の研究室を決める際にどうしようか悩んでいたのですが、偶然にも柴岡弘郎先生が柿本先生を推薦してくださって心を決めました。柴岡先生の一言が、その後の私の進路に大きな影響を与えることになりました。 私は柿本先生のご指導下で植物ホルモンのサイトカイニンの合成経路の解明をテーマに研究に取り組みました。私が研究室に在籍した2001年頃には、サイトカイニンの受容体や合成酵素などが相次いで報告され、研究が飛躍的に進んだ時期でした。最先端の研究成果が生み出される現場に居合わせたことはとても幸運なことでした。博士号を取得後、科学技術振興機構のERATO長谷部プロジェクトに博士研究員として参加し、愛知県岡崎市の基礎生物学研究所で5年間研究活動を行いました。 この研究員時代に、来日されていたGonahal Venugapola Reddy博士と偶然出会ったことをきっかけに、現在はカリフォルニア大学リバーサイド校で植物の幹細胞維持機構の研究に取り組んでいます。リバーサイドはロサンゼルスの東の内陸部に位置し、比較的治安が良く、日本人にとっては暮らしやすい土地柄と言えます。Reddy博士は植物の幹細胞のライブイメージングの第一人者で、実験や他のラボメンバーとの議論を通して多くの刺激を受ける毎日です。海外での研究活動には人種や価値観の異なる人々との交流が不可欠ですが、その中で非常に重要になってくるのは自らのスタイルの追求です。こちらでは、「何に興味を持ってどうしたいのか。」ということを常に問い、問われ続けるからです。 「自分らしく」あることは何なのかを見つけることは簡単ではないかもしれません。少なくとも私の場合は大阪大学と大学院時代での先生方や友人との出会いが原点となり、今ここに存在しています。皆様にとっても大学/大学院がすばらしい出会いの場となり、その後の人生の舵を取って行かれることを心よりお祈り申し上げます。(2012年1月)

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「科学的思考のトレーニング」 

根岸剛文
フランス国立科学研究センターポスドク研究員

平成16年 生物学科卒業

平成21年 博士後期課程修了

平成22年 現所属

私は大阪大学入学後、学部4年生時には細胞性粘菌を、大学院に進んでからはマボヤを使って発生生物学を学びました。私は特に胚発生中に細胞の運動や分裂がどのように制御されているかに興味を持って研究に取り組みました。博士の学位を取得した後、フランス・ヴィルフランシェ海洋研究所において、現在までポスドク研究員として、大学院時代と同じくホヤを使って研究しています。ここで、私は発生中の生きた胚の中で細胞の変化の様子を蛍光標識したタンパク質を用いて観察することを主な手法に研究を行っています。生きた胚を殺さず直接、その変化を観察するという方法は以前から興味を持っていたもので、実際に行なうことができ、今、とても充実した研究生活を毎日送っています。また、現在研究をおこなっているヴィルフランシェ海洋研究所は目の前に地中海が広がり、さらにニースとモナコの間に位置し、フランス国内では比較的有名な観光地です。夏になると研究所の周りにも、フランスのみならずヨーロッバ中から多くの観光客が集まり、実験室の窓から地中海クルーズの大きな客船が間近に見え、なかなか日本で味わえない雰囲気を日々楽しんでいます。  海外に来て実感していることは、研究というものは本当に世界とつながっているということです。所属の研究所では、言葉はもちろん文化や生活スタイルも異なる人々が集まっており、その違いに戸惑う事もありますが、研究に関しては日本で、大阪大学で、学んだ事を十分に生かす事ができていると感じています。遺伝子操作技術などテクニック的な点ももちろん世界で共通ですが、特に合理的で科学的な考え方というものは、文化や習慣に関係なく世界で共通して研究で最も必要なものです。私もまだまだ学ぶ必要がありますが、異国の地で楽しく研究活動できているのは、大阪大学の約5年間の研究生活で得た科学的思考が基礎になっているおかげだと考えています。さらにこの合理的で科学的な考え方というものは研究活動以外においても、必ず役に立つものだと思います。大阪大学理学研究科生物科学専攻は科学的思考をトレーニングするのにとても有効な環境だと思います。皆さんも是非この専攻で合理的で科学的な思考を鍛え、より良い人生のための礎として下さい!(2012年1月)

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「阪大からアメリカ → シンガポールへ」 
甲斐歳恵
シンガポール国立大附属テマセック生命科学研究所
高校時代に分子生物学を志して、はや20年近く経った2005年6月から、運良くシンガポール国立大付属テマセック生命科学研究所で研究室を運営する職(PI;principal investigator)に就きました。これも、大阪大学大学院時代での指導教官であった米崎教授を始め、当時の多くの方々のご指導の賜物と感謝しております。
高校生の私が阪大を目指した理由は、やはり分子生物学の充実したカリキュラムを期待してのことでした。入学以後、多様な実習や授業を通じて、生物学への知見を深めることができました。さらに、最先端の研究で知的好奇心を充足させることができたら、また科学の発展に少しでも寄与できたら、という思いから大学院生物科学専攻へ進学しました。
大学院では大腸菌に感染するT4ファージという、分子生物学黎明の立役者となった古典的なウイルスの遺伝子発現制御をテーマに研究に従事しました。思い返せば、大学院生時代という研究者マインドの根幹を成長させる時期に非常に都合のよい材料(ライフサイクルのターンオーバーが早く、思い立った実験を即実行、結果を検証できる)とめぐり合えたことはすこぶる幸いだったと思います。
生物科学専攻で学位を取得した後、ポスドク(博士研究員)として渡米し、カーネギー研究所でショウジョウバエの生殖幹細胞の研究に従事しました。まったく異なるテーマ、しかも多細胞の世界へと研究テーマを大きく変更し、慣れないアメリカで紆余曲折がありましたが、気がつけば7年も研究三昧の日々を送った後、このたびシンガポールでさらに自分のテーマを持ち独立して研究室を運営する運びとなりました。
PIになるというのは研究者としてのステップのひとつでしかありませんが、実際に自分が研究をドライブし、院生を指導する立場に立ってみて、その難しさを実感しています。実感するにつけ、改めて学部、大学院時代の先生方に頭が下がる思いがしています。そういった意味合いにおいて、私が阪大時代に出会ったいずれの方々も優れた教育者であり、研究者でした。これから阪大の生物科学専攻を志す方々にも、良き出会いが自らの今後の人生を大きく左右するのだという自覚を持って阪大を目指していただきたいと思います。どんな恵まれた環境も、出会いも、糧にできるのは自分次第です。大阪大学大学院生物科学専攻は貴方の期待に充分応えることができる場でありましょう!

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「日進月歩の技術に対応できる恵まれた環境」
西本伸一
大正製薬(株)医薬研究所勤務
平成7年 生物学科卒業
平成9年 生物科学専攻博士課程前期卒業
幼少の頃から生き物が好きでした。その影響で高校時代に大学で分子遺伝学を勉強したいと思い立ち、阪大理学部生物学科に入学しました。学生時代は現在もご活躍中の滝澤教授のもと、ツメガエル卵無細胞系を用いたDNA複製開始制御機構の研究に携わりました。配属当時の滝澤グループは分子生物学的手法を取り入れ始めたところで、生理学的な実験を進めつつ分子生物学も身につけることができるという恵まれた環境で研究生活を送ることができました。グループ内で経験したことのない技術であれば積極的に他の研究室に習いに行くなど、研究室の枠にとらわれず幅広い技術を経験することができました。当時の自分を振り返るとグループの中でもとりわけ「何でも屋」的雰囲気で色々な実験をしていたような気がします。また、トップレベルの研究を進めているという実感もあり、楽しみながらも緊張感を持って研究できていたように思います。研究内容そのものは現在の仕事に直接関わるものではありませんでしたが、学生時代に身に付けた知識、技術、考え方などは現在の仕事にも活かされていると実感しています。
大学院を修了し、1997年に大衆薬で有名な大正製薬に入社しました。現在、医療用医薬品の開発を目指して病態発症に関与する遺伝子群の同定、機能解析を進めています。配属先である標的分子研究室では主に分子生物学、生化学的手法を用いて遺伝子の発現変動の確認、クローニング、蛋白質の活性測定などを行っています。
DNAの構造が解明されて50年を経た今年、ヒトゲノム完全配列の公開など分子生物学花盛りという様相を呈しています。技術は想像を超える速さで進歩し、日々様々な情報が得られます。しかし、遺伝子ありきでは解決されないことも多く、今一度生命現象に立ち返ることが必要とされています。生物科学専攻では、「生化学・生理学的視点から興味深い現象を見つけ出してメカニズムを解明する」という研究方法を得意として実践していますので、これから大学院に進んで研究生活を送る皆さんにとってたいへん恵まれた環境と思われます。皆さんが阪大での研究生活を通して次代を担う研究者として大きく育たれることを心から期待しています。
大学院の生活(豊中キャンパス、吹田キャンパス、連携併任講座)
「『考える力』を学んだ研究室生活」
表迫竜也 博士前期課程2年
生物科学専攻 発生生物学研究室(西田研究室)
私が大阪大学に入学した理由は、現所属研究室の西田教授の特別授業を高校生の時に偶然受講したことにあります。高校では主に物理と化学を中心に学んでおり、生物に関する知識を持っていませんでしたが、その講義を通じて数学、物理、化学の現象が組み合わさった細胞内の現象の複雑さ緻密さに興味をもち大阪大学理学部生物科学科に進学しました。現在は生物の中でも発生に興味を持っており、学部4年生から西田研究室でワカレオタマボヤを材料に発生の研究を行っています。
どこの大学、学部であっても大学で学ぶことは『情報を集める力』『考える力』『表現する力』の3つであると考えています。そして大阪大学理学研究科生物科学専攻は、学ぼうとする学生に対して積極的にこの力を学ぶ環境を提供してもらえる場であると思います。研究室での生活を例にとると、自分の興味のある現象に対してテーマを設定し、それを明らかにする為に必要な情報を論文や様々な知識を持った先生、先輩、友人を通じて収集します。そこから具体的なプロセスを考え実際に実験を行います。そして得られた成果を学会等を通じて世界中の人々に表現していきます。ここでは長期的視点でとらえた研究室生活を例にしましたが、1日の生活の中でも毎日がこの3つを学ぶ機会に満ちあふれています。
その中でも私が特に感じる大阪大学理学研究科生物科学専攻の特色は、『考える力』を学ぶ環境が整っていることです。自分よりも圧倒的に広い視点で物事を考えている人が周りには沢山おり、そういった人々とディスカッションをしていくことで自分の見えていなかった視点で物事が考えられる様になります。毎日が学ぶことが多すぎてボロボロになりながら生活を送っていますが、そういった成長の機会の中で生活する日々は充実していると言えます。そんな尊敬できる人々が沢山いる、協力してくれる大阪大学理学研究科生物科学専攻をぜひぜひ見に来てください。(2012年5月)

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「大学の特色を利用して、自分なりのアプローチを」
吉田真明 博士前期課程2年
生物科学専攻  系統進化学研究室
私は学部4回生から現在の研究室に所属して、研究しています。現在は頭足類の進化と発生について研究しています。頭足類とは現在のイカやタコの仲間のことです。大阪大学は海から遠く待兼山の上にあるため、研究材料であるイカ、タコを採りに漁港へ出かけて行ったり、長期の出張になることもしばしばです。秋には他大学の臨海実習施設で1ヶ月寝泊まりしながら、タコの卵の発生を待ちます。大阪大学にいるときは主にベンチワークで、遺伝子解析をします。モデル生物でない動物を扱う場合、シーズンを逃してしまうと大変なことになります。しかし、頑張りどころもはっきりしているのでやりがいがあります。学部生の時は自宅から通っていたのですが、実験に使える時間に制約ができる(主に電車の時間のせいで)ため、前期課程1年の秋から下宿に住んでいます。
大阪大学の生物学科は、分子レベルの生物学に重きを置いていて、学部でも非常にハイレベルな授業を受けることができます。その反面、分類や系統進化については図書館に文献も少なく、困ることもあります。私は学部時代に他大学の臨海実習へ参加して、無脊椎動物に興味を持つようになりました。また学会に出かけて行って、動物の進化に関わる研究がしたいと思うようになりました。与えてもらう情報だけに甘んじていては、一面的な見方しかできません。ある一つの生物をとってみても、見方次第でいろいろなことを発見できると思います。私はせっかく大阪大学にいるのですから、分子レベルの知識を活かして新しいアプローチで進化に迫りたいと考えています。

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「目標と好奇心で研究生活を有意義に」
西内涼子 博士後期課程3年
蛋白質研究所/細胞外マトリックス研究室(関口研究室)
私がここへ来るきっかけとなったのは、高校生の時に蛋白研を見学したことでした。その際、たった20種類のアミノ酸の組み合わせで、私たちの体を構築する多種多様な蛋白質が形成されていると知り、ぜひ蛋白質の研究をして生命の神秘に迫りたいと考え、阪大に来ました。理学部化学科4回生の時に現在の研究室に配属され、修士課程修了後、より生物的な研究に取り組むため生物科学専攻に移りました。
研究室にいる時間は平日10時〜夜の11時くらいまでで、土日もどちらかは来ています。実験だけでなく、文献調査や論文執筆もあって忙しいですが、自分でペースを決められるので苦にはなりません。研究室には、生物・化学だけでなく、薬学や獣医学など、さまざまなバックグラウンドを持つ方がいらっしゃいます。実験設備も充実していますし、学内にある生命科学図書館では欲しい文献がほとんど手に入りますので、研究環境はとても良いと思います。研究は自分の思い通りになることは少なく、失敗が連続することもあります。1ヶ月も実験が進まないとさすがに落ち込みますが、その苦労を乗り越えて結果が出た時の喜びは格別です。どんなに小さな発見でも、結果が出ればとてもうれしいですし、研究をしているからこそ経験できることだと思います。
これから大学・大学院に進学しようとする人にとって必要なのは、大学院修了後の明確な目標か、旺盛な知的好奇心のどちらかを持っていることではないでしょうか。これがあれば、多少の苦労があっても、研究生活を有意義に過ごせるはずですよ。

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「学会やワークショップへの参加が院生生活のスパイス」
酒井友希 博士後期課程2年
理学研究科/植物生態生理学研究室(寺島研究室)
院生生活のスパイスと言えば学会です。年に何回か学会やワークショップに参加する機会に恵まれます。シンポジウムや一般発表で最先端の研究成果を聞くことができてたいそう勉強になります。
学会の醍醐味の一つは、色々な人と出会えることだと思います。ポスター発表にしろ、口頭発表にしろ、必ずディスカッションの場があります。その分野の大先輩の方々と知り合いになると、貴重なアドバイスや意見をいただけたり、他の先生を紹介していただけたりします。一緒にご飯を食べに(お酒を飲みに)いく幸運に恵まれると、昔の苦労話とか面白い話とかを聞くことができます。同年代の友達の輪も広がります。同じ分野に興味があるということですっかり意気投合できます。その上、実験のちょっとしたポイントとか、いろいろ情報交換ができたりするのでお得です。最近は、こうしてできた学会友達と会えるのも、学会に参加する楽しみの一つになっています。みんなの話を聞いたり、話を聞いてもらったりするおかげで、学会が終わる頃にはすっかりやる気になっているのです。
学会に参加するもう一つの醍醐味は、ちょっとした旅気分を味わえることです。開催地の独特の雰囲気や郷土料理が楽しめます。私がこれまで行った学会で一番美味しかったのは、やっぱり北海道です。ジンギスカンとトウモロコシとイクラが最高でした。その次が新潟です。わかめとお刺身が絶品でした。大阪では味わえない、とれたての材料を使った料理を食べて大満足でした。というわけで、地元で開催となるとちょっとだけがっかりします。
国際学会に参加すると、もっと刺激的です。ひとまず、頭の中はずっと英語です。見るのも聞くのも話すのも考えるのも全部英語。それでも国内の学会と同じように、色々な先生や学生と知り合えます。私は韓国であった光生物学会に参加したとき、韓国の女性研究者とルームシェアしました。夜中まで色々な話をしたことは忘れられません。研究の面だけじゃなく、とても勉強になりました。
私の院生生活は、このように学会やワークショップに参加できるおかげで、風味豊かなものになっていると思います。

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「研究から得られる全て受け入れていく」 
岩本 明 博士後期課程2年
理学研究科/分子生物学・教育研究室(米崎研究室)
私は博士課程後期から現在の研究室に在籍しています。大学院を博士課程から移った理由として、現状に満足しないためと、もう一つは環境を変えることで、どこででもやれるという自信をつけるためでした。私が研究室に在室している時間は、午前8-10時の間にに来て、夜は終了して気が向いたら帰るという生活スタイルを保っています。研究材料が大腸菌ということもあり、実験次第で徹夜なんてこともありませんが、基本的には、土・日も来ているので、半分研究室が我が家といえます。
これからこの分野の大学・大学院に進学する人は、研究はきれいでも、楽でもないということを覚悟すべきだと思います。研究は作業したこと全てが評価されるわけではないため、方針が間違っていたりすると半年ぐらいの成果が無駄に終わる事もあります。しかし、苦労があった分、自分の考えていた結果が得ることができたときは心から研究をしていて良かったと思えます。「この分野の適性とは何か」と考えると、とにかく研究から得られることはすべて受け入れられる気持ちをもっているということではないでしょうか。良くも悪くも結果と自分自身が取ってきた行動と表裏一体で、誰かにその責任を負わすことができるものでもありません。研究で得た結果を常に前向きに楽しみ、独りよがりにならないことがこの分野をやっていくには大事な事だと思います。ここ大阪大学は環境は十分にそろっていますから、あとは成果がでるまでがんばることでしょうか。

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「生き物の研究の面白さ、共有したい」
山口真未 博士後期課程3年
生物科学専攻/生命誌研究館(橋本研究室)
私は高槻市にある連携大学院の生命誌研究館(http://www.brh.co.jp/)で院生生活を過ごしています。高校生の時に初めて訪れた生命誌研究館は、「いきものの研究を芸術として表現している」ところでした。その展示のおもしろさや素敵さから、いきものの研究に魅力を感じ、生命誌研究館が連携している大阪大学理学部生物学科に入ることを決めました。
日頃は、朝九時から夜まで実験漬けがほとんどで、思うように成果が出なくて落ち込んだり、たまに面白い結果が出て喜んだり、一般的な院生生活を送っていると思います。ただし、いくつか生命誌研究館らしい行事もあり、それが、私が研究生活を送る上での原動力になっています。月に2回ある全館参加のセミナーでは、各研究室の研究成果はもちろんのこと、中村桂子館長や顧問のお話、「研究を表現する」研究についてなど、毎回いろいろな話が聞けます。学生も年に1、2回発表する機会があり、分野の異なった人達に研究を理解し、面白いと感じてもらうためにはどのような発表をしたらよいのか、というトレーニングになります。また、年に数回ある実験室見学ツアーやサマースクールでは、小学生からお年寄りまで、いかにいきもの研究の魅力について共感し合えるか、コミュニケーションの楽しさや難しさを味わえます。同じいきものの研究をしていても、どういう過程に魅力を感じるのかは人それぞれだと思いますが、私の場合、このような交流の場を通して、研究によって見えてきた生物の巧妙さをいろんな人と共感することが一番の楽しい瞬間です。
これから大学院に進学しようと思っているみなさんは、もちろん実験やいきものの不思議が大好きだと思います。けれども、それと就職とが直接結びつくことは希かもしれません。ですから、将来自分がどのように働きたいのか、しっかりと考えながら(迷いながらでも)院生生活を過ごすと、実験技術以外にも、とてもたくさんのことが大学院で学べ、いざ就職となったときにも必ず役に立つと思います。

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