マボヤの紹介

  • 和名:マボヤ
  • 学名:Halocynthia roretzi
  • 脊索動物門 尾索動物亜門 ホヤ綱 壁性目
  • 産卵期、外部形態の違いによって三つの種内群に分けられている。
  • 胚発生の仕組みについてはこちら

 北海道、本州日本海沿岸、東北地方太平洋沿岸、瀬戸内海沿岸に分布。特に宮城県、青森県では食用(いわゆる珍味で、好き嫌いははっきり分かれる。)として大量に養殖されている。
 雌雄同体であるが、他家受精のみ行い、発生を開始する。卵割を繰り返してオタマジャクシ形幼生になり、しばらくの間遊泳した後、岩礁等に固着し、変態して成体となる。実験室では、水温と光のコントロールにより人工的に放卵放精させることが可能で、条件さえ整えれば容器中で一年間は飼育できる。

実験動物としての利点

実験動物として多くの利点を持っているため、発生学の分野においてはメジャーな動物である。以下にその長所を述べる。

    発生が早い
    受精後35時間で幼生になる。
    細胞数が少ない。
    幼生の細胞数は約2500、嚢胚では数百細胞である(カエルの嚢胚は数万細胞)。
    正常発生が良く解っている。
    後期嚢胚(308細胞期)までの細胞分裂がすべて記載されており、各細胞に番号が付けられている。
    個体によるバリエーションがない。
    どの個体も卵割パターンは同じで、各細胞の発生運命もまったく同じである。
    発生運命の分岐が発生の非常に早い時期に完了する。
    後期胞胚(110細胞期)には、ほとんどの細胞の発生運命は1つの組織タイプに限定されている。
    オタマジャクシ幼生の構造は簡単である。
    その発生には脊椎動物と共通する部分をたくさん持っている。
    典型的なモザイク卵である。
    各割球は自律性を持っており、胚から単離しても発生運命通りに分化を行う。すなわち予定筋肉割球は胚から切り離しても筋肉に分化する。また2細胞期ではずされた各々の割球は幼生の右半分と左半分に独自に発生する。

    詳しい胚発生の仕組みについてはこちら


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