プロトコール No.3
「発現チェック」
(small scale:IPTG free)
(ver.1)
【スモールスケールでの発現】
1. 滅菌した爪楊枝でコロニーをつついて、5 mlの大腸菌培養液(LBL(
プロトコールNo.1
参照))に植菌し、培養ON
*注:培養時間は、発現するタンパクによって変わってくるが、およそ12〜24 hr:
24 hrで大体1010乗匹/ml)
2. 5 ml LBLを1.5 mlエッペンに集菌する。12000 rpm×5 min、4℃で遠心を4回に
分けて行い、全量集菌する。
3. 沈殿にα量(適量)の菌体破砕用緩衝液(20 mM Tris HCl、50 mM NaCl(pH 8.0))
を加える。目安としては、100〜200 μl。
4. ソニケーション(TOMY UD-201、マイクロチューブ用チップ使用)
Out Put 2
Duty 50
Time 10回 の条件で菌体を破砕する。
*注:菌体が十分に破砕できていないなら(塊が残っているなど)、ソニケーション
の回数を増やす。
ソニケーション後、サンプルは氷上にさす。以後の操作は氷上で行う。
5. 破砕液の半分(1/2 α量)を別のエッペンに移し、どちらか一方を熱処理する。
70℃、10 min。
熱処理後、すばやく氷に戻す。
6.熱処理したサンプルと未処理のサンプルを遠心する。10,000 rpm ×10 min、4℃。
7. 上清を別のエッペンに移す。沈殿に1/2 α量の菌体破砕用緩衝液を加え、軽くソニ
ケーションして懸濁する。ソニケーションは沈殿が懸濁できれば十分である。
未処理の上清 LS
未処理の沈殿 LP
熱処理の上清 HS
熱処理の沈殿 HP
8. 上記4種類のサンプルをそれぞれ新しいエッペンに20 μlずつとり、SDS用5×Dyeを
10 μl加え、95℃、5 minで熱処理し、タンパクを完全に変性させる。
9. 30 μlのうち、5 μlを8.5〜12%のポリアクリルアミドゲルにアプライし、電気泳動
する。(プロトコールNo.4「SDS-PAGE」
へ)
【発現レベルの判定方法】
SDS-PAGE写真の以下の4つのレーンにおいて,目的の遺伝子産物(タンパク質)が発現
しているかどうかを調べる。
熱処理していない試料の上清(LS)
熱処理していない試料の沈殿(LP)
熱処理した試料の上清(HS)
熱処理した試料の沈殿(HP)
まず,そのタンパク質のアミノ酸配列から計算される予想分子量と近い位置にバンドが
あるかどうかを見る。
もしバンドが見られた場合,それが発現して出てきたものかどうかを判定するコツは,
発現チェックしている別のタンパク質(同じゲルで泳動したものがよい)のレーンで,
その目的タンパク質の位置に同じような太さのバンドが出ているかどうかを比較して
みることである。
*注:大腸菌のタンパク質の中には,熱処理で上清にくるものもわずかにあるため,
分子量によっては間違った判定を下してしまう危険性がある。よって,たとえ
バンドが太くても,他の試料との比較検討は必ずすること。
また,発現したとおぼしきバンドのゲル上での分子量が,予想分子量と異なる場合が
ある。そのとき,3 k 程度のずれは許容してよい。
*注:SDS-PAGE での移動度が分子量の対数に比例する前提は,タンパク質がほぼ
完全に変性して,全長にわたって均一にペプチド結合に SDS が結合している
ことである。総電荷が非常に偏っている(pI が中性から極端に離れている)
タンパク質や,非常に疎水的なタンパク質では,SDS が均一に結合しないこ
とがあり,その結果として,移動度がずれる(大抵は移動度が遅くなる)こと
がある。
判断を迷うときには,その試料の残りを用いてあらためて SDS-PAGEを行い,PVDF
(polyvinylidene fluoride)膜にブロッティングして,N末端アミノ酸配列を決定
して確認する(プロトコール No. 5(作成中)参照)。
【判定の結果の表示方法】
発現レベルは,以下の基準に従って表す。
A1 (sup, ++) :発現産物がほとんど上清,発現量多い
A2 (sup, +) :発現産物がほとんど上清,発現量少ない
B1 (s/p, ++) :発現産物が上清と沈殿に半々,発現量多い
B2 (s/p, +) :発現産物が上清と沈殿に半々,発現量少ない
C1 (ppt, ++) :発現産物がほとんど沈殿,発現量多い
C2 (ppt, +) :発現産物がほとんど沈殿,発現量少ない
D (not detected) :発現産物が検出できない(発現していない)
「多い/少ない」の基準は,発現産物のバンドがバックグラウンドの大腸菌タンパク質
のバンドと比べて,目立つほど太い場合には「多い」,そうでもない(しかし発現はし
ている)場合は「少ない」、という程度である。
A/B/C の境目を厳密に定義するのは難しい。基本的に A/B なら大量培養に進めるが,
C の場合,上清にくる割合がわずかでも,発現レベルが超 C1 級であれば,大量培養し
てみるかもしれない。
【プロトコール トップに戻る】